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辺りから上がる歓声、大音量で流れる音楽、それに合わせて聞こえる4人の歌声。
動画とは違う、臨場感に溢れた空間。
センラの部屋で会った時の4人とはまるで別人のようだった。
衣装を着こなして、髪型もセットして、観客に向けて手を振ったり、ステージの上で飛び跳ねたり。
それは、3人だけでなく、もちろんセンラもだった。
今まで見たことがない、センラの姿。
こんなに楽しそうに、気持ちよさそうに歌っているセンラは初めて見る。
3人ともかっこいいのだけれど、最終的に目線がいくのはやっぱりセンラだ。
それは真藤ちゃんも同じのようで、センラの方にぶんぶんと手を振っている。
曲がどんどん進んでいく中、メンバーが時々近くのステージを通る。
私達の顔が一人一人見えているのかは知らないけれど、こちらに向かって手を振ってくれたり、ファンサに応えてくれる。
志麻さんは私に気付いたのか、ひらひらと手を振ってくれた、ような……?
いや、ここで自惚れたら志麻さんのファンに怒られる。やめておこう。
曲が進むなか、ついにセンラも近くのステージを通り始めた。
しかし運が悪かったのか、センラが向いているのは反対方向の客席。
こちらから見えるのはセンラの背中だとか後頭部だけだ。
……迷惑かもしれない、それに、届くかどうかなんて分からない。
でも、このチャンスを、私は逃したくなかった。
「_____センラ!」
大きく息を吸って、たった一言、声を上げる。
この歓声にこの音楽だ、聞こえないだろうなと半分諦めかけたその時。
聞こえたのか、それともたまたまか、そんなもの私には分からない。
けれど、センラは確かにこっちを向いて、視線がぶつかった。
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まりあ リス_ラ - 好きです (2019年4月6日 0時) (レス) id: 4cddf3a5c1 (このIDを非表示/違反報告)
倖弥(プロフ) - 史緒さん» ありがとうございます!楽しみにしています! (2018年9月12日 9時) (レス) id: c364521a02 (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - 倖弥さん» ご意見、感想ありがとうございます!新しい小説を作成し外伝という形にしようと思います!! (2018年9月12日 0時) (レス) id: ed6dc68708 (このIDを非表示/違反報告)
史緒(プロフ) - 岡本 えりさん» リクエストありがとうございます!こちらで番外編として書くにしろ残り話数が少ないので外伝という形で作ろうと思います、少々お待ちください…! (2018年9月12日 0時) (レス) id: ed6dc68708 (このIDを非表示/違反報告)
岡本 えり(プロフ) - ぜひお願いします!新しい小説が見たいです! (2018年9月11日 16時) (レス) id: 05e4939074 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:史緒 | 作成日時:2018年8月19日 20時