好きって惑わせ

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「そういえば、何で朝からこんなに騒がしいんだ？」


「今日、奈子の婚約者がいらっしゃるの。その準備で忙しいんだ。」


「そっか。あ、ごめんな、忙しいところ呼んじゃって」


「ううん。私は出席しないし、お相手も午後から来てディナーまでいるらしいから、今日はずっと部屋にいる予定なんだ。」


「そっか…
　なら、今日は俺のとこに来いよ！
　一人じゃ寂しいだろ？」


「えっ！そ、それは…
　でもいきなり行ったら邪魔しちゃうし…」


「大丈夫！皆大歓迎だぜ！
　それに彩とずっと一緒にいれるし！」


それは私も嬉しいけど…
でも色々やらなきゃいけないこと有るんだよなぁ



うーん、と悩んでいると、黒木さんが何かを思い出したようにあっ、と言った。


「そういえばお前、書類の記入とチェック終わったのか？今日までに終わらせろって言われてただろ。」

「え、明日までじゃなかったっけ」

「今日だ。」

「やべぇ」

「それが終わったら他にやることあるだろ？
　お前、次期王候補なんだから…」


和臣ったら…


私が呆れていると


「大丈夫、俺にかかればそんなのすぐ終わる！
　ということで今日は忙しくなりそうだから、また今度俺んとこ来てくれ！こっちから誘ったのに悪いな。」


「私も勉強とかしなきゃ。お互い頑張ろ！」

そう微笑みかけると、和臣の顔が赤くなった。


………？


少しの沈黙の後、和臣は私の近くに来た。


「なんで最近俺のこと『和臣様』って呼んでるの？」


何か変？



私が不思議そうにしていると


「…なんか彩にそう言われると違和感しかない。
　
　前みたいにさ…その……」



ん？

前みたい？





……あぁ、そういうことね。

でも、和臣が婚約者って知ってから言いにくくて…


でも、本人にしては気になるよね。


久しぶりだから恥ずかしいな…




「分かったよ……臣…」



言っちゃったあ…


恥ずかしくて後ろを向いた


えっ?!



臣が私のことを抱きしめた。


「お、臣?!」


「やっぱ彩に呼んでもらうとすげぇ嬉しい。
　最近呼び方変わっちゃったから気になってさ」


「ごめんね。
　私も臣って呼ぶ方が臣のこと身近に感じられるな♪大切な人だもの…」


そしたら、更にぎゅっと抱きしめられた。


「彩にそう思って貰えてたなんてまじで嬉しい。………大好きだぜ」


そしてにかっと笑った。


「…あれ黒木は？
　もしかして先に帰った？

　…はぁ、彼奴もカッコいい奴だぜ。

　彩、惚れんなよ。」

もう!

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