好きって惑わせ

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「嫌よ、絶対嫌！
　私は絶対に会わないわ！」


「奈子様時間がありません。早くお着替えを…」


「母上様もお待ちかねです。」


「なぜあなたたちの言う通りにしなければいけないの!?私にはもう決めたお方がいるのよ」


「しかし…」



朝から奈子と侍従の言い争い(と言っても奈子の一方的な反抗)でゆっくりしていられない。


いつもだったら文句を言うところだが、今日を限ってそれができない。



今日は奈子が婚約者と会う日なのだ。


しかし、奈子は『智之』という男に恋をしている。誰もが自分の愛した人と共に歩みたいと思っている。しかし、私達にはそれが出来ない。そう、姫だからだ。


私達は立場上、王子様と結婚しなければいけない。だが、智之さんは一般人。


私も決められた人とは結婚したくない。
だから、奈子の気持ちはよく分かる。


でも、私はこの事に関して口出しは出来ない。

国と国の問題だから。





…えっ、私の婚約者は誰だって？


は、恥ずかしいなぁ…


実は…





「彩ーー！」



あ、噂をしたらちょうど来た。



「和臣様！」

「今そっちに行くからな！」

「ちょっと待って、まだ準備が終わってない。」

「ごめんごめん、早く彩に会いたくって。」

なんて恥ずかしからず、太陽のような笑顔で私に言った。


もう…


そう、彼が私の婚約者です。

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