本当はずっと素直になりたかった

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ニカが来るって太輔たちに言わなきゃ…


そう思って無理矢理重たい身体を起こす。









まだ気まずいままかな…


太輔、怒ってるかな…






不安な気持ちを抱えたままリビングに向かう。







リビングのドアを開けた瞬間、

美味しそうないい匂いが漂う。




そして俺の視界には仲良さげに食べる2人の姿。





本当は千賀のいる場所が俺の居場所なのに…。



そんな俺の気持ちを知らず、俺に気付いたらしい千賀が言った。







「あ、宏光おはよ。」


「…おはよ。」




ちょっと期待してた。





いつもみたいに、


「ひろ、おはよう。」


って優しい笑みを浮かべながら言ってくれるんじゃないかって。





でも実際は違った。






「おはよ。」



目も合わさずに一言の挨拶。


ずきん…と胸が痛む。






いや、挨拶してくれるだけまだましだ。

本気で太輔と喧嘩した時は、会話すらない時もあるから。




…けどきっと、今は千賀がいるから。

体調の悪い千賀に気を遣わせないように、

俺とはいつも通りにしてるんだろう。






その「いつも通り」を演じてる状況が辛かった。

「いつも通り」を演じてるいつも通りじゃないこの空間。







「あのさ…っ、…ニカ、来るって。」


「え…っ」





この状況が、雰囲気が嫌で俺は早々に本題に入った。



目を丸くさせて驚く千賀と、

目は合わないけれど驚いてる太輔。






「千賀と仲直りしたいって言ってた。」


「うそ…っ」


「よかったな、健永。」






ずきん、ずきん…


千賀に優しく笑いかける太輔の笑顔。

そんな光景にまた一つ、心に傷が増えていく。









「それだけだから…、悪い、俺今日あんまり食欲ない。折角用意してくれたのにごめんな。」





それだけ言い残し、俺は足早にその場を後にして自室に戻った。









「はぁ…」





ずるずるとドアに沿って座り込む。






もう…どうすればいいか、わかんない。

喧嘩なんて久しぶりすぎて…。







喧嘩ってこんなに苦しいものだっけ。



こんなにも…

心が痛いの…？

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