本当はずっと素直になりたかった

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また、まただ


また太輔にその表情をさせてしまった。





何かいけないことでも言っただろうか。




いや、声すら出してないんだ、

気に触ることでもしたのだろうか。







なんでそんな怖い顔をするのかは分からないけど

また怒らせてしまった…って恐怖に近い感情に、俺は謝ろうと手を伸ばした。









「…っ」




ドクン…ッ





触るな、と言うかのように手を払われる。


そして、しゃがみこんで俺に目線を合わせてた太輔は立ち上がって俺を上から見下ろした。









「…ねえ、ひろ。…それも嘘？」






違う…っ





言いたいけど声が出ない




あまりにも太輔の表情が傷ついて見えたから…

何も言えなかった








「…ごめん、…今はひろのこと信じれない…。…変更点だけ宜しくね、じゃあ…。」





『今はひろのこと信じれない』



キーンとした耳鳴りの中それだけはやけにハッキリと俺の耳に届いた。







太輔の優しさか気遣いなのか

変更点を知らせる紙をわざわざベッドサイドの小さなテーブルの上に置いた。








でもさっきから目が合わない…









やだ、こっち見て太輔…


行かないで…




前みたいに、「ひろ」って、優しく呼んで俺のこと好きって言ってよ

…ねえ…お願いだから…








言葉にならない想いが涙として溢れようとする。







必死に太輔に手を伸ばす。


だけど太輔は振り返ることなく、部屋を出て行った。







ぱたん…っと静かに閉まるドア。










ああ、あの時と一緒だ…


嘘をついて太輔を幻滅させたあの時と…。









「ふ…っう…」


堪えきれず目から涙が溢れる








どうしてこうなってしまったんだろう

何がいけなかったんだろう





もう二度と…太輔は俺を見て笑ってくれないの…？

このまま、ずっと…このまま…？








…そんなの、やだ、…やだよ…

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