本当はずっと素直になりたかった

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名古屋に着いた瞬間バタバタと移動し始める俺たち。




「リハできそう？」


『厳しいかもです…』


「公演時間は？」


『少し遅らせるのがベストだと…』


「じゃあ30分だけ遅らせよう、開場の時間は…」




会場まで向かう車の中現地のスタッフと電話で話す。



メンバーとも相談しながら、変更点等話す。

みんな慌ててるみたいだけどあまり焦りの色は見えない。

きっとこのメンバーなら大丈夫だ…って信頼を持って仕事をしている証拠。






そしてバタバタしつつもなんとか終わった公演。



「おわったぁ〜…」


「だな、なんとか…」



ふわふわしたままライブしたからMCも楽屋みたいな感じになってしまったけど、

それはそれでファンの子達が喜んでくれてたみたいでよかった。




この公演も後にはいい思い出になるんだろうなぁ…

ライブだし生だからこそでしょ！って、笑いあってるんだろうなぁ…




名古屋の名物といえば、

味噌カツとか手羽先とか色々あるけど食欲なんて一切なかった。


もう毎年恒例になってる、千賀の母さんが持ってきてくれる手羽先にも手を伸ばす事が出来なかった。





「…宏光？いらないの？」


「ちょっと…腹いっぱいで(笑)」



そう誤魔化したけど千賀がどう思ったのかは知らない。

ちゃんと誤魔化せたとは思うんだけど…。








名古屋初日の公演が終わってから実感。


…俺、本格的に体調悪いかも。




いや、もともと気付いてはいたんだけど

多少の体調不良なんかに負けてらんねぇ！

って気持ちで乗り切ってきたから大丈夫だった。



だけど気持ちで乗り切る余裕さえもなくなってしまってる…。






.





「…ふぅ……っ」



ご飯も適当に理由を付けて断った。


ニカとかは『え〜、ミツもおいでよー。』って煩かったけど

横尾さんと玉が上手く話をまとめてくれて、なんとかなった。




ほんと、感謝しなきゃな…。




ホテルに戻った瞬間身体の力が抜けるのが分かる。




早く着替えて寝ちゃいたいんだけど

眠れないし、

だからと言ってご飯食べたり着替えたりシャワー浴びる気力なんてない…。




もうむり、…っ



こんなの続けてたら絶対明日の公演でぶっ倒れる…







身体だるい…


頭がぼーっとする…




頭痛いし、ぐらぐらするし…もうやだ…









「…北山、ちょっといい？」



そんな時、控えめにノックされたドアと

聞こえてきた低くて甘い愛しい声。




どくん…っと胸が高鳴った。

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