本当はずっと素直になりたかった

18 ページ18

玉に連れられて再びトイレに入ると

ごめんね…って優しく胃のあたりを押される



その瞬間一気に吐き気が襲って

胃の中にあったもの全て吐き出せた







「…っ、はぁ、はぁ…」



吐いた後の疲労感で思わず玉に凭れ掛かる


玉は持ってきてくれた水をゆっくり飲ませてくれる








「わるい…さんきゅーな。」


ようやく笑顔を見せることができ、笑ってみせると先程よりも更に心配そうな顔になった

え、なんで…？






「ねえ、大丈夫なの？」


「大丈夫、ただの乗り物酔い。」


「違うでしょ？乗り物って言ったって動いてないし。…ガヤのこと？」


「……んー…まぁ…」



なんだかんだ周りをよく見てる玉に

嘘をついたってバレるだろうし、

もう嘘には懲り懲りだから…誤魔化すことなく素直に頷いた。




ふんわりとした空気を纏った玉は

意外に男らしくて頼りになる所もある。






「…もう、…何があったか知らないけどさ…早く仲直りしたほうがいいよ。…ミツ限界でしょ？」


「…そう、だよな…」



仲直りしなきゃいけないってのは誰よりも分かってるんだけど現実難しい






言葉を濁す俺に玉は大きく「はぁ…っ」と息を吐いて、俺にタオルと水を手渡した




「タオル俺のだけど我慢して。枕にでも何にでも使ってくれていいから。水はまだ冷たいからマシだと思う。」


「…たま…」


「ほんっと、世話かかるよね。…まぁ、なんでもいいから俺に言ってよ。…相談くらい乗るから。」


「ありがとな。」



照れてるのか耳を真っ赤にしながら話す玉。

肌が白いから余計に赤く染まった耳が目立つ。



冷たい水。

きっと買ってくれたんだろう。

玉の些細な気遣いが今の俺にはどうしようもなく嬉しかった。

19→←17

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す