本当はずっと素直になりたかった

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横尾さんに言われた通りに眠ろうと思ったけど眠れない事をすっかり忘れてた。






「はぁ…っ」




小さく息を吐いて気を紛らすかのように台本を鞄から取り出す。


もう皺くちゃになってしまった台本。




だいぶ読み込んだけどまだまだ練習は足りないと思うし、

もっともっと…と焦る自分がいる。






あと1週間ぐらいで始まるんだ、頑張らなきゃ…


気を引き締めて、周りに聞こえない程度に小さく声を出しながら練習。







「……っ…」




だけど頭の痛さに台本を読み進めてた手が半分ほどで止まってしまった。

チラリ…っと窓の外を覗けば、先程よりも激しくなってる雨。






自覚すればするほど痛くなっていく頭。

激しくなっていく雨と風に比例して頭痛も酷くなってきて。








いっそのこと眠れたら楽なんだろうけど…むり…

頭痛すぎて寝れない。







それに…

この新幹線に閉じ込められてるみたいな圧迫感に呼吸がしづらくなってくる。


動かない新幹線に不安と恐怖が募って心臓がドクドクと不自然な音を立ててる。








…っ、酸素吸いたい…





窓に手を伸ばすけど、当然開くはずも無くて行き場を失った手が下に落ちる。









「…っはぁ、…ん…」





何かがこみ上げてきそうな感覚に、

俺は鞄から水を取り出して、

こく…っと1口だけ口に含んだ。






だけど

生温くなってしまった水は逆効果で

はっきりとした吐き気を感じてしまった。








密室という圧迫感と

小さな座席で動けないという体の不自由さに

気分の悪さは増していく。







トイレ…




そう思ったけど隣の横尾さんはすぅすぅと心地いい寝息を立てていて

起こしてしまうのは気が引ける。








そんな思いとは裏腹にどんどん吐き気が強くなっていく。






…っ、気持ちわりぃ…、

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