本当はずっと素直になりたかった

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Nside




「2人ともありがとな話聞いてくれて。」



グイッと男らしく袖で涙を拭いたかと思えばいきなりいつもの調子に戻ったミツ。





切り替えの早いミツ。





仕事の時だってそうだ。



真剣な目つきと表情で真面目に仕事をしていたと思えば、

愛嬌のある笑顔をにこにこと振り撒いてまるで子供かのように無邪気に笑う。





楽しむ時には全力で楽しんで

真面目な時は真面目にやる。



そんな切り替えがちゃんと出来る人。




ミツの周りにいつも人が集まり信頼を持たれる理由の一つなんだろう。








でもたまに心配になる


そうやって切り替える事で、何か嫌なことを忘れようとしてるんじゃないかって

モヤモヤする気持ちまでも切り替えて無理して笑ってるんじゃないかって。





ミツの心に溜まる何かを吐き出させてあげたい。



けどミツは滅多に弱音を吐かないし相談もしない。





『弱音吐いても仕方ねぇだろ。弱音吐いてる暇があんなら、色んな事吸収しろ。』




そうやって、人にも自分にも厳しくするミツは男らしくてカッコイイ。





…だけど弱い部分がない人間なんていないって思ってる。



そんなミツが「弱い部分」を見せられる唯一の存在がガヤなんだ。




もし…

ミツがガヤにまで強がるようになったら

ミツはどうなっちゃうんだろう



そうなったらミツが壊れてしまいそうで怖い…






「…ミツ、強がらないでいいよ。」



これ以上ガヤを傷つけたくないから、とか

そんなくだらない理由で強がって欲しくない


2人の間に何があるのかは全然分かんないし、嘘はダメだと思うけど…





「俺はミツに素直になってほしい。」



ミツはミツらしくありのままにぶつかればいい。



それでダメだった時はその時だ

その時は俺らが思いっきりミツを甘やかしてあげる。



真正面からぶつかって、素直になれば

きっとガヤは受け入れてくれる。


ガヤなら、ミツの気持ちを分かってあげられるはず。


…元はと言えば全ての原因を作ったのは俺達の喧嘩が原因なんだろうけど…(苦笑)





「…ふふ…っそうだな、…頑張ってみるよ。」


「うん、…俺達の責任でもあるし話ならいつでも聞くからね。」


「そうだよ宏光！いつでも俺らのこと頼ってね。」


「…ありがとう。」


「…っうん！」




素直に頷いてお礼を言うミツに

嬉しさが込み上げて思いっきり抱きついた。





俺らの前で少し弱い所を見せてくれたのが…どうしようもなく嬉しかった。

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