夏の匂い的な 2【サマーウォーズ】

9 新学期 ページ6

貴方side



あの夏の戦争が終わって約1ヶ月経ち、新学期を迎えた。

私の通っている学校は、新学期に席替えがもうしてあるシステムなので、登校して黒板に張り出されている、席が書いてあるプリントを見る。


『私は……郷原くんの隣か』


数回話したことがある程度で、仲のいい訳では無いけど大丈夫だろう。
佳主馬は、私の席からだいぶ離れている。









……

…


この席替えの後も、私と佳主馬は隣になることは無かった。


と言うと、私たちのOZでの活躍を見ていた人が 何故か アイリス がAで 佳主馬がキングカズマだということに気づいたらしく、そこから噂が広まったらしい。

別に席替えに影響があった訳では無いが、私たちの周りにはいつも人だかりが出来ていて、あの時みたいにゆっくりと話しながら帰る時間もずっと無かった。






それからというものの、2年生、3年生になってもクラスは一緒になることは無く 特に話す機会も無く卒業してしまった。

結局、ジュニア数学オリンピックで優勝したことも周りを人に囲まれてばかりで佳主馬に報告することが出来なかった。






…そう



桜を見て考えながら、私は高校の入学式を終えたのだ。

新しく出来た友達と、話しつつも頭の片隅にはあの夏のことと、佳主馬と話せなかったことが居座っていた。


…
……

「へ〜！Aちゃん、彼氏いたことないんだ、意外かも」

「ね〜居そうなのに」

『はは…付き合っても何すればいいかよくわかんなかったから』


あれから全く切っていない、腰まで伸びた髪の毛をいじり、苦笑いしながら私はそう答える。
すると、まわりがざわつき始めた。

なんだろう？と思いながらみんなが向いている方を向くと、背が高くて ここから近くの方の高校の制服を来ている男の子が歩いてきた。

なんで皆そんなにざわついてるんだろ？


「わ、イケメン」

「背、高っ！」


その少年は、私の方へと真っ直ぐ近づいているようにも見えた。


『えっ、佳主馬━━━━━━━━━━━？』


なわけ、あんな背が高いわけない。

そう思いつつも、目付きが悪くてよく見たら整った顔で、黒髪で褐色な 見覚えのある特徴がそこにはあった。


もしかしたら、という気持ちと 間違えてたら…という気持ちが交差して訳が分からなくなる。


ごちゃごちゃした頭で、その少年が近くに来はじめていることも知らずに考えている。

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