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貴方side
健二さんは戸惑いつつも、数字をジット見つめた。
そして、しばらくして健二さんがキーボードに触れた。
私は、隣で数字を考えながらつぶやく。
健二さんが打ち込む速さと私がつぶやくタイミングは全くと言っていいほど同じで、数字も全く同じだった。
頭を使いすぎた反動か、健二さんの鼻からは赤い雫が一滴一滴と零れて行った。
『っ…はぁ…』
「…はぁ…っ…はぁ…」
もうお互いに体力は限界だった。きっと一瞬でも気を抜くとダメだろう。倒れる。
「頑張れ!健二くん!Aちゃん!」
夏希さんのやけに通る声でなんとか意識を保つ。
目の前が…クラクラする。
<あんたなら出来るよ>━━━━━━。
広間にいる人たちに混じって、大おばあちゃんの声がする。私を元気づけてくれた声。
私は最後の1文字を呟いて健二さんと一緒に絶叫した。
「『よろしくお願いしまあああああああす!!!』」
いけたのか?いけてないのか?そんな疑問が心の中で溢れていく。
その疑問は侘助さんの一言で静かに頭から消えた。
「━━━ラブマシーンを無力化した!やつを叩け!佳主馬!」
佳主馬はモニターの前へと行き、操作し始めた。
キングカズマは、大勢のアバターに支えられ、立ち上がった。
最後の力を振り絞り、管理センターへと大歓声の中真っ直ぐ飛んでいく。
一直線に最深部を目指す。
前方に立ち塞がる壁に、小さな穴が生まれた。
穴は空洞に変わり、空洞が崩れ落ちて、交通標識や原子時計が並ぶ空間があらわれる。
そこから逃げ出そうとするアバターの姿があった…偽ケンジだ。
丸い耳とギザギザの歯をむき出しにしたそれは、ハッとした顔でキングカズマの方を振り向いた。
その顔面に━━━━━━━━━━。
「邪魔するなぁぁぁあっ!!」
キングカズマの拳がめり込んで行った。
「やった!」
『凄いよ佳主馬!』
その場にいる全員が、固唾を呑んで見守っていた。
管理センターが、完全にロックされなくなった所で健二さんはアバターを突入させ、GPSに表示されている数字を消して、めちゃくちゃな座標を打ち込んだ。
その直後、下からの圧力ではなく上からの圧力で屋敷全体が震えた。
「……」
黙って、様子を伺ってくると どうやら近づいてきてるらしい。
どうしようか、と体力の限界を考えていると いつの間にかひとかたまりになったみんなの中に、佳主馬が
「何してんの!」
と言って、私の体を支えながら直ぐに引きずり込んだ。
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雫(プロフ) - らいおん!!!さん» 返信遅くなってごめんなさい!実はこの作品は最近読み直して削除しようか迷っていたものでした笑そんな素敵なコメントを貰えて嬉しいです!幸せなコメントをありがとうございます。これからも良い夢ライフを〜! (2021年12月16日 22時) (レス) id: 443525fccc (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - 名前はまだないさん» 返信遅くなってごめんなさい!実は数年前に書いてたものもあるんですけど、、当時は文章に疎くて評価が酷くて、、、笑やっとリメイ クして、素敵なコメントも貰いながら完結させることが出来て嬉しいです。素敵なコメントありがとうございました^^* (2021年12月16日 22時) (レス) id: 443525fccc (このIDを非表示/違反報告)
雫(プロフ) - ゆりあさん» 返信遅くなってごめんなさい!感想ありがとうございます^^*壮大な夏、何歳になっても憧れますね!これからも頑張ります!元気になるコメントありがとうございます! (2021年12月16日 22時) (レス) id: 443525fccc (このIDを非表示/違反報告)
らいおん!!!(プロフ) - 2021年から失礼します!!!サマーウォーズ久々に見てかずま推しになったのをきっかけに、夢小説を調べていて貴方様の作品に辿り着きました...幸せな小説をありがとうございますっ!応援してます! (2021年7月23日 8時) (レス) id: cf380feacb (このIDを非表示/違反報告)
名前はまだない - 2021年から失礼します!数年前に佳主馬の夢小説を探していたのですが、久々に検索してみてこんなに素敵な小説に出会えるとは思いもしませんでした笑 文章をかけるの凄いです!楽しく読ませてもらいました、ありがとうございました!!!!! (2021年7月19日 20時) (レス) id: 567784a46c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:雫 | 作成日時:2019年8月5日 22時