男嫌いの娘が６つ子の家に放り込まれた件について【おそ松さん】

３４話：譲れない理由 ページ40

〜一松side〜


らしくない。

僕は………。
いや、俺はこんな奴ではないはずだった。



ゴミとして生きる人生に、
何の迷いもなかった。

兄弟以外と交わるのは猫だけで十分。
他人には何も求めない。
何を言われても、自分は関係ないと思った。




なのに、だ。

目の前にいるこの歳の近い女に
こんなに絆されるとは思いもしなかった。


普段の…平生の“俺”は一体どこに行ったのか。


いつの間にやら恋までして、
俺はこんなにも軽い奴だったのか？

「悪い兄ちゃんでごめん」なんて、
よく口から出たものだ。

悪いも何も、アイツは妹。
決して恋愛対象として見てはいけない。

父さんと母さんが知れば、何ていわれるだろう。


自分を責めたのだって、
自己嫌悪に陥るのだって、

今まではずっと常であった。


今更何をこんなに悩んでいるんだ、俺は。



兄弟に譲れない。
可愛い弟にも、今回は兄として譲れるものは無い。


男として、5人の敵を前にしてる。
そんな奴に勝てるのか？


俺達はずっと一緒で、
弱みや得意な事、どう解釈するか、モノの言い方、生活スタイル…。

その全てを知り尽くしている。

攻略など容易くできる。

アイツを手に入れようと思えば、
今にでも俺のモノにできる自信はある。






けど、相手が兄弟だから


今までの関係が壊れるんじゃないかって
そう思うと、手を伸ばすことも出来ない。


何で、兄弟で争わなきゃならないの_____？

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