【イナGO】お嬢様のお気の召すままに。【天河原】２ (ページ7)

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第三十七話ページ7

「きょ、京介？

どうしたのよ、一体…」

私の手を握ったまま京介は私の顔を見つめる。

怒ってる。

怒ってる顔してる。

怒らせるようなこと言ったかしら…。

「京介、怒って、る…？」

剣「別に怒ってません」

嘘だ。

声が怒ってる。

眉間にしわが寄ってるわよ。

剣「先輩は俺の彼女ですよね」

「え、えぇ」

剣「先輩は天野財閥のご令嬢なので婚約者がいるのは仕方ないことだと分かってます。

でも、なんであいつらなんですか。」

「そ、そんなこと言われても分からないわよ…

私だって、なんであの四人なのか知らないもの」

剣「先輩と付き合えたから、これ以上わがままはダメだってわかってます。

でも、」

「…、京介？」

京介は顔を伏せて、私の膝に頭を置く。

うつ伏せになってるから表情はわからない。

こんな風に甘えてくる京介は初めて。

しばらく京介は黙って、顔を伏せたまま動かなかった。

何か口ごもってるような感じの京介を見て、あぁ、と納得する。

もし私のその考えが本当なら、まだ答えが分かったわけじゃないけど嬉しくて口元が緩む。

「京介…もしかして

やきもちを妬いたの…？」

京介の頭を撫でながら聞くと、京介の耳がどんどん赤くなっていくのが見えた。

寝ころんだまま仰向けになって私の顔を見る京介の顔は真っ赤だった。

肌が白いから、赤いのがより目立つ。

剣「だって、先輩は俺の彼女じゃないですか。

なのに、あいつらと一緒にいるし。一緒に住んでる風な事言ってくるとか。

あいつらに簡単に、触れさせてやきもち妬くなって方が無理ですよ」

眉間にしわを寄せたまま、京介は自分の顔を腕で隠して消え入るように言う。

その姿が愛おしくて、可愛くて心がきゅんっとする。

京介はお兄さんの事もあってしっかりしてて大人びてるけど、去年まで小学生だったもの。

子供っぽい所なんて普段見せてくれないから、こうして私に見せてくれるのが嬉しい。

なんて、言ったら京介怒るかしら。

「好きよ、京介」

顔を隠してる腕と反対側の京介の手を取ってそっと自分の頬に添えて、そう呟いた。