薄桜鬼～花吹雪物語～ (ページ46)

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四十話ページ46

二人はしばらく睨み合う……と、
やがて彼らの視線は私に向けられた。

「……」

泣き止ませろ、ということだろうか。

「……ただでさえ目つきの悪い私に
そんな難関な依頼はやめてくださいよ……」

私の言葉に沖田さんは軽く笑う。
む、失礼な人だな。

私も睨み合いに参加している中、
目下で男の子はまだ泣いている。

流石に男の子に申し訳なくなり、
私は考えることに専念する。
こうして泣いている子の笑顔を取り戻すには……。

「よく響希が小さい頃に慰めてたっけ」

彼女のことを思い出しながらそれを実践する。

「いないいない、ばぁ！」

……。

「うえええん！」

「……あら、おかしいわね」

「……」

ぜ、全力で空振りしてしまった……！

「ぶっあはははは！」

徐々に顔が熱くなっていく私に対し、
なぜか沖田さんは大爆笑している。

「すごく面白かったよ！その顔」

「う、嬉しくありません……」

「俺はあちらを探してくる。
その子供は二人で何とかしろ」

気まずくなったのか、そう言って斎藤さんは
そそくさく去って行ってしまう。

「逃げるなんて卑怯だよ、一君」

「失礼する」

猫探しの一人分の戦力が欠けてしまったというのに、
なぜか沖田さんはにこにこ笑顔のままだ。

「じゃあ僕達も頑張ろうか。
吹雪ちゃん、さっきの続きして？」

「全力で断らせていただきます！」

その後も私たちは色々と試行錯誤して
子供を落ち着かせるのだった。