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*







其の後、江戸川様と一緒に探偵社を出て現場に向かう私。


まァ、彼の江戸川様が一緒ですんなりと行ける訳もなく。


文字通り振り回されていた。



「ねぇ!お腹減った」


『えェ、と此方に駄菓子が』


そう云って探偵社から持ってきた駄菓子を差し出す。

其れを引ったくる様に取ったと思ったら凄い勢いで食べ尽くした。


「無くなっちゃた。駄菓子購って来て!」


『でも、依頼が』


「善いから疾く!此の僕からの御願いなんだよ?」


『うぅ…』


とぼとぼと近くに有った駄菓子屋さんに向かって歩いていたが、“走って!”と云われて仕舞った為、その通りにする。


悲しい事に運動神経が悪い私が走っても全然疾くも何とも無い。


『か、購ってきましたァ…』


息を切らせ乍ら購ってきたもの(駄菓子)を渡す。

然し、其れは返されて仕舞い首を傾げる。


「矢っ張り今はいいや。後で食べる」


走った意味、と肩を落とす私に直ぐに色々な注文をして呉る。

駄菓子の量が少ないやら、駄菓子だけじゃ無くて洋菓子も購ってこいやら、喉が乾いたやら。


私は其れ等を購う為に街を駆け回った。




「遅い。待ちくたびれたじゃないか」


漸く戻って来た私に江戸川様は頬を膨らませ乍ら一蹴する。



『ご、御免なさい』


一応江戸川様のものを購って来たのだが、待たせて仕舞ったのは事実なので謝罪の言葉を口にする。


『そ、其れ依り江戸川様。疾く現場に向かわないと』


そう云った瞬間、江戸川様は明らかに不機嫌そうに顔を歪めた。

元々膨らんでいた頬が更に膨らんでいて何だか可愛かった。


『ど、どうしたんですか…?』


なるべく琴線に触れない様に慎重に声を掛ける。

之れ以上機嫌を損なわれたらかなり困る。



「ずうっと思ってたんだけどさ!何でAは僕の事苗字で呼ぶのさ!」


『へ?』



「だーかーらー」


『でも、皆様の事も苗字で呼んでますし…』



絶対可笑しい、と駄々をこね乍ら江戸川様が異を唱える。

もう少しすれば地団駄を踏みそうでも有った。



と云うか私なんかに名前を呼ばれても嬉しく何か無いだろうに。


「皆僕の事は名前で呼んでいるのにAだけ呼ばなかったら、変じゃないか!」


『否、別に可笑しく無いと思いますが…』



「あーもう!ほんっとAは鈍いよね」


首を傾げるばかり私に江戸川様は一回しか云わないからね、と云い放つ。




「僕が呼んで欲しいンだってば」



其れ位判るでしょ、と呟く江戸川様の横顔は照れているのか赤かった。







*

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黒蜜おもち - 終わり!?おっおわ……続き、ください。。。 (3月28日 12時) (レス) @page38 id: b91ecec67d (このIDを非表示/違反報告)
亜美 - 続きをお恵みください… (12月30日 21時) (レス) @page38 id: 5d2aa23f76 (このIDを非表示/違反報告)
山羊のサーカス(プロフ) - 終わり...だと...!?再度更新を願っております...! (11月25日 18時) (レス) @page38 id: 78c8c266f2 (このIDを非表示/違反報告)
かぐや - 終わっちゃった…更新して欲しいです!!お願いします… (9月8日 21時) (レス) @page38 id: 65c95105c4 (このIDを非表示/違反報告)
rai - お、終わり⁉︎是非更新をしてくれることを願って (8月19日 22時) (レス) @page38 id: 67327e3dd8 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ふにゃた | 作成日時:2018年2月18日 19時

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