第九夜 また会いたい ページ10
襖を開けたのは二人の禿で小さな少女だったが、その花魁はその禿と同じ位小さな身体の花魁だった
俯いていて表情は解らないが一目見て美しいと思う
座り、花魁が顔を上げる。
「っ!」
きりっとした視線に赤い化粧が映え、紫がかった不思議な色の瞳。
何も話さないがしばらくその様子に見とれてしまう紅覇
余りの美しさに手元にあった酒で気を紛らわせる。
(ほぉ・・・随分若い男だ・・・。)
目の前の男を上から下に視線を動かす。
こんな奴が自分に帰ると伝えて来たのか...おもしろい...。
ただひたすら無言で盃を交わし、初会を進める。
盃を交わすと言っても一方的で、花魁は全く料理に手を付けない
品定めをされているのだ
だが紅覇は花魁は自分の事を見て色々何かを思っているのだろうと勝手な解釈をする
禿は花魁の少し後ろの両側に座り、花魁からの目くばせの支持を待っていた
と、紅覇の手元の酒が無くなると同時に花魁は一人の禿の方をちらりと向き、それを合図とするかのように禿の少女は紅覇に酒を注ぎに来てくれた。
「あ、ありがとう...。」
だがその禿もお辞儀するだけで何も言わない
約一時間程の初会は終了し、花魁は立ち上がった
そして、紅覇をじっと名残惜しそうに見つめ、くるりと身を翻す。
「あ...あの...また...会ってくれるぅ...?」
そう言うと花魁が紅覇に見返った。
その流す様な視線と見返りがあまりにも美しく、息を飲む紅覇
「僕、紅覇。練紅覇!」
その花魁はにこり、と微笑んでまた優雅に襖の向こうへと去って行った。
(もう一度...来ればな...。)
これが吉原という奴か.,
でも、こうして遊ぶのも悪くないとも思った。
掟の一線を越えなければ楽しい場所であるし、彼女たちにも良い場所である場合もある。
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ゆみ - 面白いです 続き気になります ゆっくりでもいいので更新頑張って下さい (2017年1月20日 20時) (携帯から) (レス) id: a64fcc18a2 (このIDを非表示/違反報告)
黒蝶*Black butterfly(プロフ) - とても面白いです!続き、楽しみにしています! (2017年1月4日 22時) (レス) id: b433954d57 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:にゃむ | 作成日時:2016年12月9日 17時