第７録 わたしたちの予言 ページ9
時の破壊者？
Aは復唱した。
ブックマンはアレンに興味があるようだった。
千年伯爵の破壊者になる可能性があるから、そしてふと自分の予言を思い出す…生と死の予言を、
『ブックマン、予言の全文は？』
「【アレン・ウォーカー、お前のイノセンスはいつか黒い未来で偉大な［時の破壊者］を生むだろう】……だったかの」
『［時の破壊者］を生む……？』
「何か思い当たる節でもあるのか？」
『……ブックマンには、関係ない事かな』
目を細めて笑う、二人の間に冷たい何かが流れた。
「【神が口を閉ざす日、時に恋するものは別たれ、本に恋するものは生きるだろう、例えそれが［主人格］であろうと】」
『ブックマン……私の予言がどうかしたかな？』
「裏切りの可能性が示されておると思わんか？、先程も言ったが［時］すなわち［千年］
……恋をするとは、どういう事かの？」
『じゃあさ…［本］は［ブックマン］じゃないのか？』
同じ笑顔でラビに近寄り隣に立つと、彼の肩に頭を乗せる。
『私は、お前らに恋なんかしない、千年伯爵にも恋なんかしないし、神の言葉も聞こえない。
それに、好きな人がいる、顔、思い出せないけど…』
――…は、本当にわたしや……が好きだな…
『つ、』
「オイッ！？」
ふらついた瞬間ラビに腕を掴まれる、顔を上げると記憶のボヤけた人と彼がダブる。
『…やめっ離せ……！』
腕を振り払い、そのままバランスを崩し床に背中から倒れる。
『(違う、
Aは手で顔を覆い微動だにしない、数秒後に力が抜けて、覆っていた手は顔の横に落ち、起き上がった。
『……ごめん、ブックマン、言い過ぎた』
「ふん」
『Jr.もごめん、踏み込み過ぎた……』
「いや、オレも、熱入り過ぎた……自業自得さ」
ラビは驚いた。
この女性はいったい自分達の事をどこまで把握しているのか、自分よりもこの戦争について理解しているように思える。
あのじじいが自分以外で喧嘩紛いの事をした。
その事実が解せなかった。
他のログで出会っている可能性は無い、だとするとオレが生まれてない、前の戦争のログ？知らされていない事実があるということか？
考え事が一段落つくのを見計らったように、彼女は床から立ち上がり埃を払って笑った。
『いや、人間らしくて良いと思うよ、そこのブックマンより』
「まだやるか？」
ホワチャと体を使って威嚇している。
『……昔よりマシか、』
next
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 50人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：名取針子 | 作成日時：2019年4月15日 19時
