第５録 赤と黒の視線 ページ7
『だから連絡取れなくて、ごめんリナ』
「もう、皆勝手だよっアレンくんだって――むぐっ！？」
ヒートアップするリナリーの顔を片手で掴んで黙らせる。
『リ〜ナ？そのアレンとか言うが居ない今、任務のクロス探しを優先すべきじゃないのか？
あとバカって何回言うつもりだ？ん？』
「だっ……ごめん、なさい……」
『元帥から話聞いてるけど、本当に他人をかえりみないバカ弟子だな…女の子を泣かせるなんて』
「A、あなたも人の事言えないんだからっ生きてて良かったッ」
『はいはい、ごめんね？』
「許さない〜っ嫌い！Aのそう言うトコきらい！」
はいはいと流しながらリナリーと手を繋ぐ、赤髪と目が合った。
『リナリーがごめんな？……君の名前は？』
「ラビっす」
『初めまして、よろしく』
空いた手で握手をする。
Aがじっとラビの顔を見ていると、ラビは頭に手を置いてくねくねし始めた。
「そんなに見つめられると困るさ〜」
『眼帯してるけど、ちゃんと戦えるの？』
「あっそっちっすか……」
はたと、前にブックマンが今は
『もしかして、ブックマンの…？』
「おん？弟子ですよ？」
『そっか、やっと会えたな、なんか知らないが全く君と縁なかったから私、ブックマンに話は聞いている。
へぇ、これが後継者ねぇ…』
「な、何です？」
『いんや、なぁんにも？』
自分のとは質の違う、値踏みする視線に気持ち悪さを覚え、ラビは目を反らした。
タイミング良くゴーレムに無線が入る、戻って来いと……
〜港〜
快晴の空、ボロボロの団服、ボロボロの船、
『うわぁ、日本に行くって本当？これで？』
「伝言？」
アジア支部のウォンと何か話している。
「こちらの部隊のアレン・ウォーカーは我らが発見し引き取らせて頂きました」
「本当に？」
「はい」
アレンの安否と再開を望むリナリーに、ウォンは別れと出航を告げた。
ティムキャンピーのメモリーには、イノセンスを失ったアレンが映っていた。
ラビは言う。
生きてようが、死んでようが、アレンがエクソシストでなくなった、その事実は変わらないと……
安否すら聞けなかったリナリーは静かに涙した。Aはそっと彼女の肩を抱き、まだ喋った事のないアレンに思いを馳せる、
どうか、彼が無事であるように、と……
「A様」
『ん？』
「あなたも日本へ」
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作者名：名取針子 | 作成日時：2019年4月15日 19時
