■閑話 K.LとChange ページ48
Aside…教団に入団した話
緊張した面持ちのコムイとヘブラスカの予言を受け、彼に妹を紹介すると言われた。
入団が終わると、そそくさとクロス元帥は私を置いて消えた。
十八歳になった今、探そうとは思わないが……。
寝室であろうドアを開けると、可愛い女の子が椅子に座っていた。
彼女は九歳だとコムイは告げる。
『へぇ、この子がお前の妹か……可愛いな』
「でしょ。自慢の妹だよ」
「兄さん…この人だれ?」
とたとた、そんな音が聞こえてきそうな動きだ。
『こんにちは、私は……』
「……リナリー?」
自己紹介しようと近付くとコムイの後ろに隠れる、その表情はとても悲痛なモノだった。
「この人、怖い……」
『……あ〜、うん、そうだな怖いよな……』
知らない人だもんな、と困った様にしているとコムイが私を気にかけた。
「人が怖いみたいで、すまないね…」
『大丈夫だ、慣れてる……
よしっリナリー?私が今日から君のお姉ちゃんになろう、どうだ?そしたら怖くないだろ?』
「……お姉ちゃん?」
『そうだ、お姉ちゃんだから何だって聞いてやる、辛かったら守ってやる、どうだ?怖い人が味方になるんだ。何も怖くないだろ?』
目線の合わせているが、どうしても男っぽい…コムイが咳き込んで目を細めた。
「……A、もう少し女の子らしい言葉使いをして欲しいんだけど、」
『え?あ、あぁ…わかった気を付ける』
数日後、団服を取りに歩いていると、背中に衝突を感じた。
「兄さんっ」
この声は、
「…あれ……?」
『ど、うしたの?リナ、リー……?』
コムイと私の髪型が似ており間違えたようだ。
「兄さんじゃ、ない……っ」
ぽろっとリナリーの目から涙が溢れた。
『えぇー、泣くの〜〜…?』
「ぐすっ、ぐすっ」
『全く、おいでリナリー』
脇の下に手を入れて抱き上げる。
「わっ」
『一緒にコムイの所に行くぞ〜〜…あぁ違うか、行きましょう?』
言葉を言い直して微笑むと、小さな手でぎゅっと服を握ってきた。
『リナリーは軽いねぇ、まるで天使みたいだ。ほら、こんなところに羽が付いていた』
資料を書き留める為に持っていた羽ペン、彼女の頭を撫でる時に隠して持ち、ペン部分を隠し見せる。
「え!?何でっ私そんな鳥のいるところなんて行ってないわ、」
彼女は頭を触りながらクエスチョンマークを飛ばす。
『くすくすくす…っ』
「あっ、それ羽ペン!!」
気づいた彼女が驚く、抱え直しながら笑った。
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作者名:名取針子 | 作成日時:2019年4月15日 19時