第40録 休息 ページ47
ラビが無意識に手を伸ばす、目の前に現れた彼女を抱き締めようとした。
「Aか」
「っ!?」
神田の声で、ラビが弾かれたように手を引っ込めた。
『神田!久しぶりっ』
「チッ」
舌打ちした瞬間に神田の腕を掴み、引き寄せ、Aが首を腕で絞めている。早業だった。
『おい、舌打ちとかないよな?な??……神田ぁ??』
「ッ……うぜえ!いってぇし!!
久しぶりも何も、テメェ、連絡してこなかっただろ!!ふざけるなよ!オレ達がどれだけ……
チィッ!!」
盛大に舌打ちをした神田、そんな彼を腕から開放した瞬間、傷口があるであろう部分を叩くAに、神田が手も足も出ないでいる。
リナリーにですら口答えしていたのに、だ。
三人の絆が一瞬で目に見えた。
『はい、今度の手合わせ手加減しないからな?これ決定!鼻フック?キャメルクラッチ?それともお姫様抱っこで教団を走ろうか?』
「はぁ!?」
まるで姉に逆らえない弟みたいだろ、とマリが言った。
「あの、A……さん?」
アレンが話しかけてくる。
『はい、何?弟弟子』
「……えっと、」
『なに?なーに??』
「えっと!」
何かを言いたそうなアレンとそれをさせないA。
『先輩と呼んでも良いけど?』
「いえ……っ遠慮します」
『じゃあお姉ちゃんでも良いけど?』
「うえ!?お姉ぇ、いや、そのっ」
あたふたするアレンをとても楽しそうに見つめる、その目がとても優しい。
頭を撫でながらごめんごめんと笑った。
『おっと……で、本題は?』
「(あれ?リナリーが大っ嫌いって言ってたのこの人だよな?)
あっ、はい。中国支部で、貴女の新しい服を持っていくようにって言われました」
『え?ホント?』
近くに合ったトランクスを彼女に渡す、
『?…新しい団服か!めっちゃ嬉しいっ!やった〜っ!
何これ手紙??コムイ?サイズは前のままだから、次来たときに測らせてって、ん?あっ……
ふふ、本当は数ヶ月前に戻ってるつもりだったんだけど、もぅ……ばか』
手紙を見ながら優しくばかと呟いた彼女、ミランダがクスクス笑った。
『え?あっ……コホンッ、ラビ、そこの水代わって』
水を被っていたラビの手に新しい服を乗せ、そして、目の前で服を脱ぎ出した彼女に皆がギョッとする。
もう少しで胸が露になる、その瞬間目が合った。
「へ?……うおっ!?」
Aの手が伸び、ラビの首もとのバンダナを引き上げる。
何も見えなくなった。
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次回閑話二話。
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作者名:名取針子 | 作成日時:2019年4月15日 19時