第30録 ボロボロの団服 ページ36
まぁ、今は見る影もないが、
『私が中国にいるって誰にも言ってないからな
……だからミランダ、落ち込むな』
Aは教団に定期連絡をせず、更に音信不通(正しく言えば出来ない状態だったのだが、)で中国に居るとは誰も思っていなかった。
ミランダが持ってきた服には、彼女の替えの新しい団服は無い。
たった一着の身を守るそれが、ほとんど引き裂かれていたり、解れていたりで、防御面で不安しかない物になっていた。
『わりとAKUMAの一撃一撃がきついけど、盾があるからなんとかなる。東雲ぐらいの威力が、この槍にもあればなぁ……
時期じゃない、か…』
ミランダがヒイヒイ言い始め、ぽんぽんと頭を撫でるAに、
私の服を……とか、言って脱ぎ出そうとするので止めている。
「(時期?)」
ラビとブックマンが視線を合わせていた。
「A〜」
『ん?』
「時期って?」
『うーん……秘密』
ふふっと彼女は笑った。
上陸したのは伊豆。
階段付近でちょめ助(ラビ命名)のボディ名が判明し、彼女の仲間の川村はレベル3からの共食いにあった。
『……江戸はあっちだな』
「ちょ。」
方位磁石を懐にしまい、ちょめ助と海岸沿いの最短距離の話をする。
他の皆はAKUMAの死骸を見ていた。
「!?どうしたさサチコ」
「ちょめ助でいいっちょ」
『ちょめ、本当に大丈夫か?』
「!!」
ちょめ助が苦しみ始めた。
『ちょめ!!』
「伯爵様からの送信っちょ!!」
焦り始める皆を見て、Aは背中から風真を取り出す。
「…この送信範囲は…伯爵様が日本のすべてのアクマを呼び集めようとしてるっちょ!!」
頭を抱えて叫ぶちょめ助とそれを囲むラビ達、くるりくるりとAはペン状の風真を指で回した。
クロスは日本で何かをしようとしている。と言うことは、伯爵が日本にいる確率が高い。
そして、そうなった場合、伯爵が何かを起こそうとしているのは確実だ。
日本のAKUMAを集めて何をする気だ?
「ごめんっちょラビ…オイラ…伯爵様の元に行かなきゃ…」
ちょめ助が動き出す。行く、と言うことは確定だ。
『参ったな……』
その後、ちょめ助を先頭に海岸を歩き江戸を目指した。
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拝 針子
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作者名:名取針子 | 作成日時:2019年4月15日 19時