第29録 日本上陸 ページ35
リナリーは重症、イノセンスは最大限まで解放した為、発動できない。皆がボロボロだ。
踞るリナリーの腕を引く、
『リナリー立て』
「あぁぁぁぁぁぁぁ」
それでも立ち上がらない、ミランダは泣き崩れるリナリーに寄り添っていた。
『リナリーッ！』
「、Aっ今はそっとしておきましょう？ね？」
『それは出来ない。
アレンの事で散々立ち止まったんだ……
船での事はお前だけが背負うんじゃない！私達も生き残った！顔を上げろ！前に進めッ！
絶望は、歩みを止める理由にはならないだろ！』
――わたしは……まだ…せかいのなかに、いる…？
『生きている限り、進み続けるんだ……それが、
ラビはぐっと唇を噛み締めた。
「っ、わかってる！わかってるわよ！！」
『だったら、次！行くぞ』
「Aだって泣いてたんじゃないの！？目赤いわよ？」
『なっ！うるさい！私はリナリーみたいにずっとくよくよしてないわよ！』
「くよくよしてないわっ」
『いーや、してるね！』
言い合いが始まる。
ミランダがくすりと笑った。
「ほんと、姉妹みたいねっ」
『……あ〜もう、泣くんじゃなかった。調子狂う……リナに挙げ足取られるなんてな、言うようになったな、ホント。お姉ちゃんつらい』
「A、そう言うのはホームに帰ってからでしょ？」
『リナ……神田みたいっ生意気！』
「きゃっ」
リナリーを後ろから抱き締める、三人で笑っていると日本が見えてきた。
『さーて、小休止はこれぐらいにして……』
真面目な顔で配られたマントを羽織る。
ここからが、本番だ。
〜日本・伊豆〜
「ようこそ日本へ！」
日本に降り立ち、初めてしっかりとタイムレコードが解かれたボロボロのAをリナリーは見る。
記憶では足首まで在ったであろうAのコート、今では腰まで短くなっている、それでも、怪我という怪我がないのは彼女の優秀さを物語っていた。
『皆、痛むところは他にあるか？』
無いとの返事。
色気のあるノアとの戦いでコートの袖の部分が破れており、安全ピンで留めてあった。
ラビがその安全ピンを摘まみ、笑った。
こうなりゃ積極的に交流さ。
「そういやアンタ、服やっぱりボロボロだよな。こんなに性能に差があるんさ……科学班パねぇ」
ラビからすれば一つ前団服の基礎デザインのコート、そしてAのデザインはアレンとクロウリーを足して２で割った感じのロングコートだった。
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作者名：名取針子 | 作成日時：2019年4月15日 19時
