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第27録 神の結晶 ページ33

『……アニタさん、大丈夫か?』

甲板で船を撫でる彼女に近付いた。

「あ、っ……大丈夫です、心配には及びません」

『その、船員達の事、悪かった……』

「……えぇ、あれは酷すぎます。我らにはあまりにも酷です。
しかし、貴女はクロス様から認められているだけあって、深い闇をお持ちなのね」

アニタが心臓の上にそっと手を乗せる。

「これは、どうして?」

『……死に行く貴女にならば、教えてもクロス元帥は怒らないかな、』

レベル3と初めて遭遇した時、十三歳とあるの夜だった。



〜イタリア・十二年前〜

『っ、痛!』

「おいおい、レベル3じゃねぇか!何やってんだよわははははっ」

発動した対AKUMA武器の太刀を引き摺りクロスの前まで走ってくる。森でたった一軒の家の玄関にクロスが座り、煙草をふかしていた。

『クロスさん!強すぎて、強すぎて無理!』

「はぁ?お前が連れてきたんだ自分でなんとかして見せろ」

『!無理だってばぁぁぁぁ!近づけない!死にたくない〜!!!無理ぃぃぃぃぃ!!』

矢が降ってくる。

九曜巴(くようどもえ)っ!“ 水の天幕(カーテン) ”!!』

防御で矢を受けているとバキリと嫌な音がした。

『!?嘘、』

「“ 聖母ノ加護(マグダラ・カーテン) ”」

『クロスさん?』

「“ 原罪の矢 ”」

一瞬にして消し飛んだ。

『……一撃、凄いっかっこいい!』

「あんなのは雑魚だ、一瞬で終わらせろ」

『でも、九曜巴が壊れちゃった……クロスさんぐらい強かったら死なないよね、強くなれば死ななくてすむ?』

「当たり前だろ」

『うわっ!?なん、…液体になった?』

「液体ぃ?飲めば旨いかもな」

『あ、そっか!』

「!?……おいバカ!」

『っ、あ゛ッぅあっ痛ッッッッ痛い!!』

両手から血が溢れて来る。
クロスがAを抱き上げ家に入る。

ジクジクと血が流れ手を押さえるも流れ続けた。

『いたい、いたいよぉっっクロスさん、クロスさんっ』

泣きじゃくり手を引っ掻こうとするので縛り上げる。クロスは焦った。

三日後の夜、叫び疲れベッドに沈んだAをカチリカチリと真っ赤な物体が覗き込んでいた。

「あれは、イノセンスか……」

イノセンスが一瞬、クロスの方を見た気がした。

「おい、起きろA」

『……っいた、い…死にたくな、いよ……なんで、誰でも良いから、助けてよっ』

イノセンスが動きだし、彼女の心臓に頭(?)の部分を押し付けた。



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作者名:名取針子 | 作成日時:2019年4月15日 19時

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