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第26録 とんでもない女 ページ32

「百面相しとらんと聞け……腐ってもあやつはクロスの弟子じゃ、時折ワシでも見抜けん嘘を吐く」

「それは、やべぇさ」

全てAの手のひらの上、そんな気がして気味が悪くなった。


「いや、むしろ、恋人になってみたらどうじゃ?」

「は!?」

「Aが本当にワシらの求める、[あの一族]なら……」

ラビの脳内はそれどころではない。
ブックマンの発現が爆弾のように、ラビの中の恋人像を破壊し始める。

「……恋人って、マジかよ」

手を繋いだり、キスしたり、あーんしたり、それをあのとんでもない女としないといけない?

いやいやいや、記録の為ならそう言う事だってするさ、

けど……


――君の全部が見たいの……

――ふふ、機嫌直してくれた?

――ラビ

――私だけクロスの元に行く、他は帰った方がいい……そっちの方が私もやり易い

――おかえり……?

――あのさ、ラビ……リナリーだけど、うぉッ!?

――はぁ、はぁ……っ、どっち付かずの、浮気者!!

――お前、今はエクソシストだろ!それとも遊びでエクソシストやってんのか!?あぁ!?無駄な命が死んだ!もっと早くに使っていれば、死ななかった命だってあるだろ!!

――ラビィィィィッ!!!

――やっぱり、側に要るべきだった……!

――この、アホブックマン師弟!!あれはレベル3だ!全力でトドメを刺しにいけ!バカ!

――止せJr.!!

――っ、Jr.!

――ってことな、わかったブックマンJr.?

――Jr.もごめん、踏み込み過ぎた……

――…いやっ離して……!

――いんや、なぁんにも?

――初めまして、よろしく


Aとの記憶を辿って初めまで戻る。が、彼女の隣りに自分がいる事が想像出来なかった。顔は申し分ないが、性格がきつい。

けど、
倒れそうな彼女を支え様として拒否された時の表情、オレに手を伸ばして悲しそうな顔をする彼女……

リナリーの側に居るべきだと後悔する彼女を意識的に抱き締めた時……確かに年上の女性だが、リナリーよりも小さな手、柔らかい身体(胸)は嫌でも女を意識させられた。

あまつさえ、抱きたいと

「本気になったらどうするんさ……」

多分、オレは……

「お前がか?」

「……っ」

見抜かれている。

「あの予言が本当であれば、恋心を抱かせる事が出来る、
あやつの“ 記憶 ”はきっと“ イースト ”と呼ばれる人物のモノじゃ、生まれ変わりなのかはわからんが……

あやつは14番目が死んだ後、舞台から消えたからの」



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作者名:名取針子 | 作成日時:2019年4月15日 19時

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