第24録 可愛い子たち。 ページ30
レベル3以上を相手取るには、些か使い勝手が悪い、東雲は大振りで小回りが効かない、風真は貫通力はある物の決定打がない、守天はまず攻撃特化じゃない……。
本当の対AKUMA武器。
血を使い、私の心臓を持っていったあのイノセンス、心臓という犠牲のお陰で強い、私の治癒能力も合わせて科学班が出した計算上では、そう簡単に死にはしない。
けど、巣窟に入るとなれば話は別だった。
一人じゃないから守らなくてはいけない、だからきっと使ってしまうと思う、偽りの無いイノセンス。
守るために、
ごめんなさい、クロス元帥。
『……はぁ、使いてぇな……』
「何を?」
『イノセンス』
「?」
使ってるじゃない、と隣に来たリナリーが告げる。
リナリーの手を持って支えると、ミランダの所に行きたいと言われた。
『リナにはまだ早かったかなぁ〜』
「もう!何なのよ!」
ぷんっと怒ってて可愛い。
『あははっ、リナはなーんにも気にしなくて良いの、絶対守って見せるから』
私だって守るもん!と言い始めたので頭を撫でる。戦場なのに思わず緊張が溶けてしまった。
リナリーをミランダの所に届けると、私を見たラビが出ていった。
そう言えばブックマンの事でまた言い過ぎたよな、とAは思い出し、後を追い掛ける。
『ラビ』
「……」
ふいっ
と顔を背けられ、これは嫌われてるのかもしれないな、とAは苦笑いをする。
『その、さっきはリナリーの事で、悪かった……その年で冷静になれってのが酷だった。そんで、リナリーの事、大切に扱ってくれてありがとね……』
「うるせェよ」
凄い不機嫌だ。
神田も怒ってる?拗ねるとこうなる事を思い出して笑った。若いって良いなぁ。
『……まだまだ青いな、うん!可愛いっ』
「は?」
『え?』
「いやいや、今のオレ見て可愛いって……」
今めっちゃ不機嫌な顔っしょ?と自分の顔を指差しながら眉間に皺を寄せる。
『可愛いじゃないか、私にとったらあの神田だって可愛いよ?ある意味同じ考え方してたりするから、余計に可愛い弟みたい、ていうか、弟にしてる!』
「……どういったご関係で?」
『あ〜、弟みたいな感じ……って言ったらわかる?私、教団歴はあの二人より若いけど、そこそこだから』
不機嫌さは残して聞いてくるラビ。
「え、いくつだっけ?」
『25……って言わなかったか?』
「見えねぇさ」
上から下に見下げる、表情は戻っているようだ。
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作者名:名取針子 | 作成日時:2019年4月15日 19時