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第20録 失くしたモノ ページ24

盾が眩しい程に光り、周りの海水から人が浮上し始める。

「な、なんだ?体が浮くぞ!」

少しずつ船も浮上を始めた。

『はぁ、はぁっほんと、世話の焼ける!』



Aが必死に守天で海流を弄っていると、ラビとクロウリーが集まる。

そこから話がトントン拍子に進み、ラビが槌を構えた。

『木判……?』

「とりあえず、わかんなくても良いからA!防御全部任せられるか!?」

それは無理だ。
盾は今ミランダを守る事と、船をこれ以上沈まないようにするのでリソースが手一杯だ。

そう告げた瞬間、船が急上昇した。

『何がっ!?、いや、船が浮けばこっちのもんだ!守天。水よ、全てを守れ!』

海から出てきた水の幕が、船を覆った。

弾丸が全て弾かれ、一瞬の間ができる。

「いけラビ!!叩き落とせ!!!!」

ラビの能力を落ち着いて見るのは初めてだ。

丸い判と呼ばれる紋様が浮かび上がる。
ちょっとだけ懐かしい気分になった。

左手を見る、船に乗る前にハマっていた手袋は今はない、予備は鞄の中だ。

「イエッサァ!!!」


両手に深く切り込まれた十字傷、

彼女の本当の対AKUMA武器と失くしたモノ。

心臓の上に手を乗せた。鼓動はない。


「判(まるもく)!!!木判、天地盤回(てんちばんかい)

ラビの動きに吸い込まれる様な感覚に陥る、

「ち、ち、ち、ち……どいてくれ」

稲妻の様な光が打ち上がった。

「雲よ」

光は雲を消した。
AKUMAを見つけたクロウリーが飛び上がる。

「四時の方向」

「オッケィ、行ってこいクロちゃん!!」

『……雲が消えた、って』

頭に血が昇るのを感じる。Aはゆらりと立ち上がりラビに近付く……

『……っ、こんな技が有るなら、さっさと使えよバカ!』

胸ぐら掴んで壁に叩きつけ、足で壁ドンする。

「ひぇっ」

『お前、今はエクソシストだろ!それとも遊びでエクソシストやってんのか!?あぁ!?

無駄な命が死んだ!

もっと早くに使っていれば、死ななかった命だってあるだろ!!』

「っ、」

なんて表情してるんだブックマン。

『はぁ、はぁ……っ、どっち付かずの、浮気者!!』

「Aよ、」

『ブ、ブックマン……』

「今回はそのバカが悪い、もっと言ってやれ」

「うそーんっ」

ブックマンが、危うくこっちが死ぬところじゃったわくそが、と鼻ほじしている。

『……、はぁ〜……リナリーを探さないと』

立ち上がり海を見る。

波は心とは裏腹に穏やかさを取り戻していた。



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作者名:名取針子 | 作成日時:2019年4月15日 19時

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