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第19録 貴方の熱を分けて欲しい ページ23

〜海、船の上〜


「!?」

眩しい光と轟音が遠くで鳴り響いた。

『リナリー!!!』

「Aっ危ないさ!」

海に降りようとするAをラビが止めた。船が沈み始める。

『リナリーが!』

一番冷静であるべきAが取り乱している。

これはまずいと、ラビは落ち着かせるように抱き寄せた。人肌を感じて、彼の服を掴み自分の唇を噛んだ。

『やっぱり、側に要るべきだった……!』

「お前が居なきゃこっちが沈んでるさ!!」

そう、Aの盾のイノセンスで船をギリギリの状態で上昇させている。

『くそっ!』

ラビから離れて、もう一度盾を展開して船を浮上させようとする。

このせいで攻撃にも防御にも移れず、必死にミランダと自分を盾でガードしているのが現状だ。

「Aちゃんごめんなさい、私がもっとしっかりしていれば」

『ミランダ、それは違う……お前が居なきゃ既に船は、それに皆が守ってくれてんだ、そんな泣き言、言うんじゃない!』

泣き出すミランダを一喝した。

「っ、」

またAKUMAの攻撃が来た。
守天(しゅてん)の能力で船を浮上させているから、防御の為の水膜を貼れず弾丸の雨が降り注いでいた。

跳ね返る海水で足元も滑りやすくなって来る。

頭上でAKUMAの弾丸を跳ね返すラビ達に目を向ける、ラビが思いっきりバランスを崩した。


更に、AKUMAの弾丸が彼に降り注ぐ……


「がっ」


「!!、ラビ」


「ラビくん!!」



ラビが、打たれた。



Aは目を見開いて盾を離し、走って手を伸ばす、

しかし、その手は届かずに海に沈んだ。


『ラビィィィィッ!!!』


嘘だ!悪い奴じゃなかった。

ブックマンとしては色々頂けないけれど、人間としてはむしろ好感が持てるような男で、出会ったばかりだったのに……。


なんで、こんなに手が冷えるんだろう……?


震える手を握り締め、ミランダに向き直る、ザバッと黒い塊が海から出てきた。

ラビを抱えていたクロウリーが船にラビを落とす、思わず息を止めた。


生きている?


「ゲホッゴホッ、あれ……?オレ、撃たれ…………っ?」


生きてる……のが、嬉しい?なんで、こんな感情…


「ふぅ、生き返った」

「へっ!?」

ブックマンの怒声が入り、そこからクロウリーと何かやり取りをしているラビ、よく聞こえない。

『っ、ミランダ、船は戻りそうか?』

「駄目なのっ思うように動かないっ、船員さんたちが!」

『水よ!お願いだから殺さないで!』



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作者名:名取針子 | 作成日時:2019年4月15日 19時

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