第1録 衝撃 ページ3
クロス捜索部隊結成当日。
コムイが伝え忘れる所だった、と上げた腰を戻した。
「それからね。アレンくんの他にもう一人、クロス元帥の弟子がいるんだ。
その人も最近になって放浪癖というか、定期的に連絡は入れてくれるんだけど……もし道中で見つけたら一緒に行動して欲しい」
前の定期連絡から音信不通なんだ、本当に珍しい事なんだけど…とコムイが苦笑する。
前の定期連絡では、イギリスに居たらしい。
「あはは……」
「私、あの人嫌いよ……」
ムスッとしてリナリーが怒ったような声を出す、その姿はまるで子供のようだった。
「(うぇー!?リナリーが嫌いって言ったー!?)
いったい、どんな人なんでしょう……」
アレンはまだ見ぬ先輩弟子に苦手意識を持った。
ラビとブックマンが顔を見合わせる。
どうやらブックマンの方は先輩弟子と面識があるようで、合流出来たら頼もしい味方だとブックマンは言う、どうやらそこまで酷い人じゃ無いようで、アレンがホッと息を吐いた。
しかし、アレンはその先輩弟子と当分会う事は無かった。
だって、戦線離脱するんだから……
〜中国〜
『ハックシュン!!!』
髪を項で一つに結び、裾の広い黒のコートに身を包んだ女性がくしゃみをした。
その背中に大きな刀、腰には肩幅程の盾、そして、その胸にはローズクロスが光っていた。
顔のパーツ的に、日本人であろう彼女の周りを心配そうに飛び回る三角形のゴーレム、コムイを買収して特別に作らせた物だった。
ははっ可愛いやつ。
『誰か噂してるのか……?』
つい先日、日本行きの船の前でクロス元帥と別れて、そのままクロスの命令で中国にいる。
『「お前が大暴れしなくても馬鹿共が暴れてくれるだろ、お前残れ。そしてしばらく教団にも連絡するな」
ってなぁ……』
あ、鯉釣れた。
『アバウトなんだよ、いきなり拉致ったかと思えばこんな所ではいさよならとか……人の金で豪遊するし、
はぁ……』
もう何ヵ月余分に教団に帰っていないんだろうか、彼女は深くため息を吐いた。
〜拉致前〜
イギリスで本部に連絡を入れようとゴーレムに線を取り付けていると、後ろに異様な気配がし、振り向く前に担がれた。
『うぇ!?何!?AKUMA!?えっ、酒くさ!?』
「久しぶりだなA!」
『この声、クロ…元帥!?』
「しばらくお前、オレの財布になれ。」
あの時の衝撃を未だに忘れはしない。
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作者名:名取針子 | 作成日時:2019年4月15日 19時