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第12録 犠牲と選択 ページ16

『この、アホブックマン師弟!!あれはレベル3だ!全力でトドメを刺しにいけ!バカ!』

「ひえ、神田みたいで怖いさー……」

睨まれたラビがびびっている。

「クロスの行方を知りたくないのか小娘!」

『アニタさんに江戸つったんだから江戸なんだよ!一発で倒せないなら、相手の能力もわからんウチに一人で動くんじゃねえ!』

「ぐぬっ」

流石のブックマンも彼女の怒号に圧されたらしい、彼女の祖父と師匠(クロス)は口が悪い。

Aが深く、一息吐くと指示を出した。

『ブックマン!ミランダのイノセンスを守れ!
残りはどうにかして雲の上のAKUMAをなんとかしろ!』

「言われんでもやるわ小娘!」

「エラっそうにっ」

「スパルタさ、」

なんつった?と言う表情でまた睨む、パタパタと三人は位置についた。

天針(ヘブンズコンパス)、加護の針[東ノ罪(イーストクライム)]!!!」

雷霆回天(らいていかいてん)、頼むクロちゃん!!」

ブックマンがミランダのイノセンスを守ってくれている分、やりやすくなった。

しかし、今居る四人では作戦を立てるのが難しい。

ラビの能力も未知数、クロウリーの能力も未知数、考えあぐねているとラビの天判の雷撃が空を走った。

「やったか……!?」

Aも上を見上げる。

「どわわわっ」

先程と変わらない弾数が降り注いだ。

『役立たず、

ッ!?……地鳴りじゃないよな、船か?』

マストから降りた瞬間、船が沈んだ。

『なっ!?』

「A!?」

降り立つ場所には何もなく、そのままドボンッと、吸い込まれるように海に落ちた。

『ごほっごほっ、レベル3の能力か!』

守天の力で船に戻ると、しとどに濡れた髪を掻き上げ、リナリーの無事を祈る。

海に落ちたことで冷えた頭、Aの思考がクリアになる。

船を見渡し船員を確認する。

何人がAKUMAの弾丸に当たったんだろうか、ちゃんと私は守れていたのだろうか。


世界を救う為の犠牲を決めるんだ。


『すまないがお前ら!私が船を持ち上げる、守ってやれなくなる……だから犠牲になってくれ』

そう大きな声を上げた。

皆、彼女の黒い目を見る。

その目には迷いがなかった。

『……守天、最大解放』

光出す盾を下に向ける。

この盾は盾であって、盾じゃない。

たまたま三つに分けた対AKUMA武器の1つを“ 盾 ”という形にしただけだ。

これは、水を操る事が出来る。



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作者名:名取針子 | 作成日時:2019年4月15日 19時

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