■閑話 Ｌ.ＬとImprinting ページ13
〜教団、食堂〜
side リナリー
Aに断って彼女の前に座ったは良いものの、その様子がおかしい。
「A」
彼女の隣でコーラを飲んでいた上機嫌なラビが、こそっと彼女の耳に口を寄せて囁く。
「好き」
はぁ！？
『ッ！』
顔を掴まれ離されている。
「A？」
私が不思議そうに訪ねるとAは曖昧に笑った。
『な、んでもないっ大丈夫』
「んへへ……A」
『ちょっと、本当近いってば』
自然な動作でAの腰に腕を回し、肩に顎を乗せて笑うラビ、おかしい……思わず眉毛がきゅっと寄る。
「……A、ラビに何があったの？」
『科学班でラビが変な薬被っちゃって……インプリンティングっていうの？刷り込みのあれ、の薬だったの』
「Aを親だと思っちゃってるわけね。」
納得、誰がそんな薬を作ったのかしら……なんて考えていたら、Aがラビから距離を取りながら困った様子で話してくる。
『それがね、惚れ薬と調合されたものらしくて』
惚れ薬。
じゃあ、薬をかぶったラビは、初めに見たAを恋人か何かだと勘違いしているって事？
ワナワナ震えていたラビがAに飛び付いた。
「リナリーじゃなくてオレを構って欲しいさ〜っ」
『ぐぇっ……この有り様』
首を締める要領で、ラビのような大きな身体に抱き締められ、Aはなす術もなくされるがまま、うらやまし……じゃなくて、Aから早くラビを離さないと、
「な〜ぁ！A〜〜っ」
すり寄るラビに私は多少の苛立ちを覚えた。
『甘えん坊過ぎてほんっっっっと、ムリなんだけど！』
その顔はかなり穏やかで、はたっと私は気付いた。
どうやらAはラビにこうされるのが満更でもないらしい。
「A、オレの事嫌いになったんか？だからそんなに素っ気ないんさーっ」
「ラビ、まずあなたはAと付き合ってないわ！」
その言葉にラビが瞳を揺らした。え、なにその表情。立ち上がり去ろうとするラビのマフラーをAが引っ張った。
「うぐっ」
『何処にも行かないって約束したでしょ？』
！？
「へへへっA〜っ」
『ラビが可愛い』
Aが、絆されてる……。
「ちゅーして？」
『寝言は寝て言え』
「酷いさっ」
ちゅっと手のひらをラビに向ける。
「っ投げキッスじゃなくて！」
『やかましい、そんなにして欲しいならもっと良い男になったらしてあげる。』
それは駄目よ！私のお姉ちゃんなのよ！
そう私は大声を出した。
恥ずかしい、
end
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作者名：名取針子 | 作成日時：2019年4月15日 19時
