39 『比喩と現実と』 ページ39
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まどろみだ。
何かに沈んでく。
何に沈んでく。
わからない。
わからない。
わからないから。
わからないけど。
**が呼んでる。
何て言っているのかはわからない。
わからない。
わからないことだらけだ。
嗚呼。
沈む。
+ +
「邪魔するぜェ」
「──!! てめっ、痛っ」
聞き覚えのある声に少女が嫌な予感を押して出入口の方を見れば、少女の怪我の一因となった男──榊原が立っていた。
反射的に寝台から跳ね起きて仕返しをしようとしたが、傷が痛み結局ダウンしてしまう。
「おーおーおー、血気盛んだなァオイ」とニヤニヤ笑いながら別の寝台に腰かける榊原。片手に熟した柿を持っており、相変わらずの妙な服装だった。
「それ俺のかよ」
「違ェ違ェ、違ェ。オレのに決まってンだろうがァ。相変わらず脳味噌はねェんだなァ」
「……」
──こいつ殺す。マジ殺す。いつか絶対殺す。
榊原は自分が殺される標的になっていたとは露知らず、がぶりと荒々しく柿に噛みついた。それを物欲しそうに見つめる少女に向かって鼻で笑いながら中指を立てる。完全にクソ野郎である。
「んで来たんだよ。来んなよ。テメェのせいで頭未だに頭痛すんだよふざけんじゃねえよ、おい」
「ふざけてねえ……イヤ、ふざけてるわ。うんうん、そんで?」
ビキリと音がした。少女は人間の耐久力が案外高いことを知った。わーい新しいことが知れたぞー、じゃねえよクソが。何だこいつマジ何だこいつ(大事だから二回言った)。
ふー、と息を吐く少女。額に青筋が浮かんでいるのを意志の力で何とか抑えつける。
「……何で、こんな処に来たって訊いたんだよ。テメェの脳味噌が腐ってんだろ。腐ってんのは頭だけじゃなくて耳もか?」
「は……? お前ェ何言ってやがる……? 脳味噌が腐ってたら人は生きられねェだろうが。そんなことも分かんねェのか?」
「テメェ数秒前の自分の発言聞き直せやァァァァああああああ!!」
キレた。
普通にキレた。
……えっ、これどう考えてもこいつが悪いよな?
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白夜の世界(プロフ) - 内田さん» 応援ホントありがとう御座います……!皆様の心を動かせるような小説を書くために頑張ります!! (2020年4月15日 17時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - はじめて読ませていただきました!すごく面白くて、少女ちゃんの生い立ち、すごく感動しました。これからも応援させてください! (2020年4月15日 16時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 成程・・・。私の合作相手もそんな感じですよww (2020年4月14日 12時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - 燐火さん» えぇ、合作はしない主義ですね。自分がパソコンにかじりついていられる時間が非常に不定期ということやその他諸々ありまして……。 (2020年4月12日 8時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 白夜の世界さんって合作とかしないんですか? (2020年4月11日 16時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2020年3月28日 16時