40 『今更の話なのですが』 ページ40
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胡蝶カナエは悩んでいた。
それはもう悩んでいた。
「……榊原さん、どうしてこんな惨事になっているの?」
「オレじゃねェ。オレのせいじゃァねェ」
ぶすっとした榊原は不機嫌な声音でそう言った。もっとも彼は現在年下の女性に正座させられていて、その光景に柱としての威厳などは一ミリも無いのだが。元々無いのがマイナスを彷徨っているが。
カナエが惨事として示したのは、少女が寝ていた部屋の有様であった。
活けられた花は無惨に下に飛び散り、花瓶は割れている。布団の布は花瓶の水でかびちゃびちゃに濡れており、寝台は脚が一本折れている。
そして少女。
「テメェ!! そう言やあ犠牲って言葉も取り消してなかったなァオイ!! 取り消せよ!! んでもって謝れよ!! か弱い女子の顔面地面に叩きつけるとか倫理観どうなってんだてめえ!! ああ!?」
「るッせーよオメェは黙っとけよ!!」
「テメェが黙れよ!!」
「二人ともよ!」
「「………………っす」」
カナエがふぅ、と一息吐く。基本は笑顔で居ることが彼女の
カナエの後ろで般若のような顔をしている少女はしのぶだ。原因は二つ。姉に溜め息を吐かせたことと、せっかく手入れしていた花が台無しになり、部屋を掃除やら何やらしなければならなくなったことだ。
そしてたまたま己の家に帰ることなく蝶屋敷に残っていた煉獄は、暴れまくる少女を取り押さえていた。カナエの一言で大人しくなった少女だが、またいつ暴れ出すか分からないので羽交い絞めにしておく。
「……ともかく!榊原さん、この子の怪我が治るまで近づかないで下さい。あなたも、彼とは怪我が治るまで接近しないようにね?」
「だが、オレァ継子の話が──」
「いいですね?」
榊原は整った顔立ちを歪め、「……リョーカイ」と渋々呟いた。
「取り敢えず、しのぶ、この子を別の部屋に移してあげて」
「分かったわ」
テキパキと動き始める胡蝶姉妹に、やることが無くなった煉獄は一つだけ思うことがあった。
……この子が女だったことに気づいてなかったと言い出せる雰囲気ではないな!
よもやよもや、と煉獄はかなりの衝撃を覚えて屋敷へ帰って行った。
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白夜の世界(プロフ) - 内田さん» 応援ホントありがとう御座います……!皆様の心を動かせるような小説を書くために頑張ります!! (2020年4月15日 17時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - はじめて読ませていただきました!すごく面白くて、少女ちゃんの生い立ち、すごく感動しました。これからも応援させてください! (2020年4月15日 16時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 成程・・・。私の合作相手もそんな感じですよww (2020年4月14日 12時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - 燐火さん» えぇ、合作はしない主義ですね。自分がパソコンにかじりついていられる時間が非常に不定期ということやその他諸々ありまして……。 (2020年4月12日 8時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 白夜の世界さんって合作とかしないんですか? (2020年4月11日 16時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2020年3月28日 16時