23 『無力な体の風穴』 ページ23
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「……ごめ、ん」
「ひくっ、ぅう、謝んなぁ。何も、悪くねぇよ……。悪いことなんか、一つも、ねぇんだ、」
微かに嗚咽が混じりながら、少女は少年に言った。抱き締めている体はその機能を未だ保てているが、それもあと数分のことだった。
少女は初めて神様に祈った。神様なんて居ないと思っていた。神様が居たら、自分達がこんなにも苦しむことは無かったろうから。
少女が神を信じていれば、少年が助かった。そんなことはありえない。在り得ないし、有り得ない。ありえない未来を、少女はたしかに願った。他の何もかもを捨てて、己さえも捨てようとして、
──何も、できなかった。
捨てられなかった。拾えなかった。行けなかった。──何もできなかった。
一体、こんな自分に、何ができると言うんだ。生きる意味なんて、もう、無いじゃないか。
「あの、とき。……僕を、助けて。くれた……、あのとき。覚え、て……ますか？」
「──」
少女が無力感に打ちのめされているのを知ってか知らずか、少年は話しかけた。
少女が少年を助けた時。それは、忘れもしない、あの日の──あの時のことだろう。
──その日少女が小屋へ帰って来た時、少年はそこには居なかった。少年は大人数人に暴行を受けていた。誰も助けようとせず、むしろ軽蔑の眼差しで少年を見ていた。少女はそれが許せなかった。
少年が何故あんな風にされなければならないのか。何故自分達は抵抗も許されないのか。何故、傷つけられることを受け入れなければならないのか。
少女は大人に殴り掛かった。その場は何とかしのげた。翌々日、少女が腕を折られて痣だらけの姿で帰って来た。少年は驚いて、泣いて、謝って。そうしたら、少女が言ったのだ。
『今日、は……、怪我。無い？』
……少年はわんわん泣いた。とにかく泣いた。少女がものすごく戸惑って、困った顔をして、それでも涙は止められなかった。
コクコクと頷く少女に、少年は笑みを深めた。安堵がその表情に現れていた。
「あの、時まで。君……の、こと。信用で。きて、……ません、でした」
腹を貫いた痛みは相当なもののはずだ。現に腕が折れただけの少女でさえ、先程は痛みにのたうち回っていたのだから。けれど少年はそんなことなど無いかのように、少年の体に開いた風穴なんてないように、喋り続ける。
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白夜の世界(プロフ) - 内田さん» 応援ホントありがとう御座います……！皆様の心を動かせるような小説を書くために頑張ります！！ (2020年4月15日 17時) (
レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - はじめて読ませていただきました！すごく面白くて、少女ちゃんの生い立ち、すごく感動しました。これからも応援させてください！ (2020年4月15日 16時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 成程・・・。私の合作相手もそんな感じですよww (2020年4月14日 12時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - 燐火さん» えぇ、合作はしない主義ですね。自分がパソコンにかじりついていられる時間が非常に不定期ということやその他諸々ありまして……。 (2020年4月12日 8時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 白夜の世界さんって合作とかしないんですか？ (2020年4月11日 16時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：白夜の世界
| 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時：2020年3月28日 16時
