24 『死んじまえ』 ページ24
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「嬉し、かった」
少年の本心だった。
ぽろりと、また一粒、少女の眦から涙が零れ落ちた。
「大好き、です、…………生き、て」
「──」
少年が血で薄汚れた顔で、微笑んだ。笑って、泣いて、笑って。そんな表情があって。
少女は茫然とした顔で、泣いた。泣いて、笑って、泣いて。そんな表情をした。
すぅっと、息を吸い込んで。震える唇にぐっと力を込めて。眉は下がって、唇は引き上げて、泣いてるのか笑ってるのか分からないような表情で、少女は、言った。
「うんッ……! 大好き、俺も、大好きだよッ……!!」
少年は緩やかに、少女の頬に当てていた手を下ろす。左腕だけで少年を支えていた少女には、その手を掴むことすら許されない。許されな過ぎて、報われない。
──ああ、死んじゃう、死んじゃう。
太陽の光が差し込む。夜が明ける。山々の縁を
「────ありがとう」
「──どうッ!どう、いたしまし、てぇッ!!ぅ、うう、……!」
泣きながら、いつかのようなやり取りを交わす。
太陽の光で、少年の白髪がキラキラと反射する。鮮やかな青は濡れて、滝のように水滴が流れ出る。
少年が、笑った。
──。
少女も、笑った。
とくん、とくんと振動していた胸が。
動かなくなった。
「────」
死んだ。
絶叫が少女の喉から迸った。
「あ、あ、あ、ああああああああああああああああ!!!!」
「ああああああ!!!」
「うあああああああ!!」
「クソォ、クソォッ、クソクソクソクソくっそぉおおおおおおおお!!!」
「ふざけんな! ふざけんなぁ!! ふっざけんなよお!!」
「許さねえ許さねえ許さねえ──!!」
「死ね!! 死ね!! 死んじまえ!!」
「誰も彼も、俺とこいつを救えなかった奴みんな!!」
「死んじまえ!!!」
少女は息を吸い込んで、吐いて。それからもう一度息を吸って。
透明色の涙を一つ流して、ぽつりと、言った。
「こいつを救えなかった、俺なんて」
死んじまえ。
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書いた後で『夏色アンサー』という曲を聴いたら結構少女ちゃんと少年の関係性と合致してたので良ければ聴いてね。上めっちゃシリアスなのに何かごめんね。
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白夜の世界(プロフ) - 内田さん» 応援ホントありがとう御座います……!皆様の心を動かせるような小説を書くために頑張ります!! (2020年4月15日 17時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
内田(プロフ) - はじめて読ませていただきました!すごく面白くて、少女ちゃんの生い立ち、すごく感動しました。これからも応援させてください! (2020年4月15日 16時) (レス) id: 2320622f76 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 成程・・・。私の合作相手もそんな感じですよww (2020年4月14日 12時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
白夜の世界(プロフ) - 燐火さん» えぇ、合作はしない主義ですね。自分がパソコンにかじりついていられる時間が非常に不定期ということやその他諸々ありまして……。 (2020年4月12日 8時) (レス) id: ad65672360 (このIDを非表示/違反報告)
燐火 - 白夜の世界さんって合作とかしないんですか? (2020年4月11日 16時) (レス) id: 0a3e20f243 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:白夜の世界 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/nisui03101/
作成日時:2020年3月28日 16時