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第百三十九夜 仕組。 ページ35

「……サリア、そろそろAの視線が痛い」

 華月の肩を押して彼は視線をAから逸らしながら言う。華月は目を擦りながら 一瞬にやりと口元が歪んだと思えば 瞬時に彼の腰から金属器であるバアルの剣を抜き取ると 彼の方へ突きつけた。
 急な行動に思考回路の追い付かない彼は 何があったのかとAの方を見る。愛らしい顔とは打って変わって 暗殺者としての 毒牙姫としての顔へと豹変した。

「──これ、イイ刀アルなぁ。少しの間だけ借りるヨ」

 彼は彼女の細い肩を掴む。だが 彼女は止まらない。彼が肩の手に力を込めた瞬間に彼女は瞬間移動の如くAとメルレムの背後に立っていた。

 Aの背後から彼女の前髪を掴み 上を向かせるとその首筋に剣を当てる。メルレムは彼女を助けようと立ち上がるが 華月に横腹を蹴られて意識が遠退いた。

「ねえシン様……Aチャンの命とジャー様、どっちが要らないアル?」
「何を馬鹿なことを……!!?」

 Aが動揺して少し動くと、ひやりとした感覚がもたらされ 怯えたAに華月は嘲笑する。

「答えてヨ」

 駄目。答えたら迷わずに華月はどちらかを殺す
 メルレムがシンドバッドに掠れた声で言った。

「メルレムチャン、ちょっと煩いアルよ」
「ッ……」

 華月の視線がメルレムに突き刺さる。Aは何故か口元を笑みに歪ませると その瞬間に彼女の瞳が翡翠に光り 同時に華月の持っていた剣は遠くへ弾き飛ばされた。
 華月は動揺したのか目を丸く見開く。

「何したアル……!」
「さあ……私にもよく解らんが 稀に何かを強く願った時、母上の言っていた瞳の力が発動するらしくてな。残念だが 今回は私の勝ちだ」

 彼女が華月に殴り掛かるが ゆらりとかわされた。

「……ワタシが負けるわけないアル
 暗殺者時代から まだ能力は衰えてないネ」

 メルレムがその隙に後ろから蹴りを入れるも あっさり勘付かれ かわされる。

「伊達に暗殺者やってないアル」

 シンドバッドは遠くにいるジャーファルへ視線で訴えた。そして構えを取ったジャーファルと視線で会話し、タイミングを見計らって合図を出す。
 彼の眷属器は一瞬で華月の方へ飛ぶが 華月の隠し刃で弾き返された。

「……気付かないと思ったアルか
 シン様、ジャー様」

 華月は微笑を浮かべながら再度メルレムの首を掴んで持ち上げる。
 残忍な笑みをジャーファルに向けて一言言い放った。

「メルレムチャンが死ぬ前に、ワタシを捕まえてみなヨ」

第百四十夜 孤独。→←第百三十八夜 葛藤。



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乙姫(プロフ) - サキさん» 了解です! 有り難う御座います(^^) (2015年6月9日 18時) (レス) id: 28e2e11b2e (このIDを非表示/違反報告)
サキ(プロフ) - 3番がいいです!! (2015年6月9日 16時) (レス) id: 2887baf917 (このIDを非表示/違反報告)
乙姫(プロフ) - ナウシカ@トラ猫さん» わかりました! 有り難う御座います(^^) (2015年6月8日 22時) (レス) id: 28e2e11b2e (このIDを非表示/違反報告)
乙姫(プロフ) - magicさん» 有り難う御座います!頑張ります(`・ω・´) (2015年6月8日 22時) (レス) id: 28e2e11b2e (このIDを非表示/違反報告)
ナウシカ@トラ猫 - 2か4、もしくは両方を合わせてくださるといいです!頑張ってください! (2015年6月8日 22時) (レス) id: 6b074dcab5 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:乙姫 | 作者ホームページ:三つもあります←  
作成日時:2015年4月23日 22時

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