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第百三夜 懈怠。 ページ40

「悪夢なんて、人聞きの悪いことを……」

 そう言ったセラフィルの顔面に蹴りを入れる。

「寝言は寝てから言え。ただしあの世でな」

 鼻血の流れる彼を見て、彼女はいよいよ狂気に満ちた顔をした。

「がさつな女性は嫌いだよ……ハハッ」

 そうか、と小さく返しながら、彼女はジュダルと背中合わせの体勢になる。ジュダルが視線のみで彼女にどうするのかと問えば、彼女は鼻で笑いながらジュダルを床へ叩き付けた。
 突然反転した視界と背中に走る激痛にジュダルは浅く呼吸を繰り返す。

「おま、なにして……っ」
「すまんな。 この罪を背負うのは私だけでいい」

 船を壊すからやめろと言ったのも言い訳だ。現に私は船を壊しているからな。貴様を油断させるために一芝居ってわけさ

「てめえ……ふざ、けんな……!」

 儚げな顔で彼女が振り向く。

「もう、終わらせたいんだ……!!」

 ぼろぼろと涙が溢れた。彼女の背後に剣を構えて襲いかかるセラフィルの存在に気づいてジュダルが教えようとしたが、このままでは間に合わない。

 もう駄目だ、そう思った瞬間Aの身体は剣に刺されることなく 横へほんの数歩動き剣を軽々交わした。

「その芝居にかかる貴様も見物だな」

 彼女が涙を指で拭う。セラフィルを嘲笑うようにニヤリと嫌な笑みを浮かべていた。残酷なほどに彼女の演技力はずば抜けていて 何が真実で何が嘘なのかすらわからない。
 その瞬間Aがその場に倒れ込み、呻き声を上げる。

「もうその手には乗らないよ。そこまで僕も学習能力は低くないからね」

 だが彼女の呼吸は段々荒く、そして浅くなっていき 時折ビクビクと身体が痙攣していた。
 瞳から涙が零れ、何度も咽せ返る。

「……そのままなら好都合だ」

 セラフィルが剣を構えてAの上へ馬乗りになり 彼女の胸元に剣を突きつけた。

「げほっ……が、はぁっ……!」

 彼女が吐き出した血液がセラフィルの腹部に付着する。

「……ああ、そうだった」

 セラフィルは彼女の付けていた、シンドバッドから貰った指輪を彼女の指から外し、バキッと折ってしまった。

「『僕のもの』で死んでね」

 彼が剣を振り上げる。

「げほっ……!」


「バイバイ」

 ジュダルは見たくない、というように瞳を固く瞑るも、何時まで経ってもその最悪の声は聞こえない。

「……学習能力など、貴様に存在するのか?」

 恐る恐る瞳を開けた先には、剣が胸に突き刺さっているセラフィルがいた。

第百四夜 最悪。→←第百二夜 永久。



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阿呆代表の神(プロフ) - ジュダルがメルレム?の兄となると、確かですが、ヤンバラの一族ということになりますよね。ジュダルはヤンバラ一族ではありませんよ。辻褄があってないというか……原作と違いすぎてゴチャゴチャになってますよ。 (2020年9月9日 17時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
乙姫(プロフ) - 伯爵王家編は残すところ二話です。伯爵王家編の終了と共に続編へ移行します (2015年4月23日 1時) (レス) id: 28e2e11b2e (このIDを非表示/違反報告)
乙姫(プロフ) - もうすぐ伯爵王家編完結です。まさか三十話にわたり書くことになるとは思いませんでした(;・ω・) あと少しで終わる予定ですので皆様応援よろしくお願いします! (2015年4月19日 21時) (レス) id: 28e2e11b2e (このIDを非表示/違反報告)
乙姫(プロフ) - えるふぃさん» 有難う御座います!頑張ります(`・ω・´) (2015年4月15日 18時) (レス) id: 28e2e11b2e (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - 乙姫さん» はい!!大丈夫ですよ、ちゃんとわかります!自分の書き方に自信を持ってください!続きが楽しみです♪ (2015年4月15日 17時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:乙姫 | 作者ホームページ:三つもあります←  
作成日時:2015年3月1日 21時

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