第八十五夜 子供。 ページ22
「良いね、その顔。女の嫌がる顔は大好きだ」
腹がじんじんと痛む。
「う、ぐっ………！はぁっ…」
「ああ、そうだ。子供産めなくするのもいいね」
ぞくりと背筋が凍り、瞳に恐怖が宿った。
「い、やだ…やめ………やめて…」
「もっとその顔見せて」
彼の指がスッ…と腹をなぞる。瞳を閉じた瞬間に下腹部に大きな痛みが走った。
「う゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ッッ!!!!」
「うん、その顔。もっとやるね」
嫌だ、嫌だと首を横に振る。ちらりと見たシンドバッドの息は浅く 意識もないようで 助けてもらえそうには見えない。
彼が力を込めた拳を振り上げる。
「嫌だ、嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だあぁぁっ!!」
「あはははははははッ！」
もう一度あの衝撃。胃の内容物を吐瀉しそうになったが、それを見抜いたのかセラフィルが首を絞めて それは許されなかった。
「こうされちゃ吐けないもんね、苦しい？ 苦しいでしょ、ねえ」
「ぐあぁぁッッ!!」
膝で腹部をぐりぐりと圧される。
「──僕の子供を産むって言うならやめてあげる」
「っ………！」
痛い。身体以上に、愛しい彼を…恋人を、シンドバッドを裏切ってしまいそうで心が痛い。
「どうなの？」
「………っ……」
声が出るはずもなく、黙って彼の双眸を見つめる。
「──ねえ、聞こえてるの？」
「っ、ん…」
視界が歪んできた。
「駄目だね、どこ見てるかわかんないや。じゃあひとつ聞くね」
「ん…」
「明日もまたここにおいで。もし頷けば治癒魔道士呼んであげるよ」
問答無用なその言葉に、静かに頷けば 動かぬ身体を良いことに 彼と唇が重なる。
危険な、闇に誘われている気がした。
「すみませーん、人が倒れてるんですけどー」
彼はそう言うと、彼女の掌に剣を握らせる。
「えっ………？」
「………君なら咎めは無いけど、僕の場合死罪になっちゃうからね」
間も無く治癒魔道士が来て、結局は恋人同士の喧嘩ということで落ち着いてしまった。何故そうなるかと言えば 七海連合と彼女の祖国、どちらも敵に回せぬ驚異だからだ。
「──こんなの……」
直ぐに回復したシンドバッドの胸元に縋りながら小さく呟いた。
「…………許さない……」
「A？」
彼女は瞳を伏せる。
シンドバッドは不思議そうに首を傾げた。
その瞳には憤怒と悲哀が隠れているとはいざ知らず…………。
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阿呆代表の神(プロフ) - ジュダルがメルレム？の兄となると、確かですが、ヤンバラの一族ということになりますよね。ジュダルはヤンバラ一族ではありませんよ。辻褄があってないというか……原作と違いすぎてゴチャゴチャになってますよ。 (2020年9月9日 17時) (
レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
乙姫(プロフ) - 伯爵王家編は残すところ二話です。伯爵王家編の終了と共に続編へ移行します (2015年4月23日 1時) (レス) id: 28e2e11b2e (このIDを非表示/違反報告)
乙姫(プロフ) - もうすぐ伯爵王家編完結です。まさか三十話にわたり書くことになるとは思いませんでした(；・ω・) あと少しで終わる予定ですので皆様応援よろしくお願いします！ (2015年4月19日 21時) (レス) id: 28e2e11b2e (このIDを非表示/違反報告)
乙姫(プロフ) - えるふぃさん» 有難う御座います！頑張ります(｀･ω･´) (2015年4月15日 18時) (レス) id: 28e2e11b2e (このIDを非表示/違反報告)
えるふぃ(プロフ) - 乙姫さん» はい！！大丈夫ですよ、ちゃんとわかります！自分の書き方に自信を持ってください！続きが楽しみです♪ (2015年4月15日 17時) (レス) id: d0667a2ad3 (このIDを非表示/違反報告)
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