第四十九夜 霧散。 ページ18
「シン、何か用でも…?」
「ん?ああ、Aはまだシンドリアに来て日が浅いし、今日は食事のついでに八人将を紹介しようと思ってな。」
そう言って彼女の手を握ると、彼女が驚いて足がもつれ、二人とも床へ転んでしまう。
彼女はあまり背中に痛みを感じないことに疑問を持ち 横目で床を見ると シンドバッドがギリギリのところで抱き抱えていてくれていた。
「なっ…!!お、重いから離せ!」
「い、いや俺は平気だが…」
ゆっくりと立ち上がると、周りからかなり見られていて、少し恥ずかしい。
シンドバッドが手を引き立ち上がらせてくれたが、あまりの恥ずかしさに素っ気なく手を離してしまったのを心の中で激しく後悔する。
「ぁっ………」
転んだ拍子に足を捻ってしまったらしく、鈍い痛みに膝から落ちると彼が腰を支えてそれを阻止してくれていた。目の前にある彼の顔に一瞬で頬を紅く染めてそっぽを向く。
「だ、大丈夫か……?今日はやけに様子が…」
「い、いや…何でもない…気にするな…」
この天然タラシはたちが悪い。いつも不意打ちでこちらをときめかせるのだ。何気無く肩に添えられた手も、それは胸を高鳴らせる為のものでしかない。
「あ、そうだ…お前、足挫いたろ?医務室に…」
「えっ、あ、ちょっ…!」
姫抱きにされると、周囲からの視線が更に痛くなる。
「あー…今日は医官いなかった…。」
「下ろせ…!」
「歩けるのか?」
「あ…ん………何とか…する……」
シンドバッドの腕に掴まり、歪んだ足取りで進む彼女の姿が少し可愛く見えて、彼は勢いよく彼女を抱き締めたい気分になるが もしそれを今すれば彼女の足が悪化するかもしくは関係が悪化しそうだ。
彼女の白い頬を撫で、軽く口付けると頬が桜色に染まる。
「──いつもシンばかり、狡い…」
「?………ッ!?」
投げ槍、というか、自棄になり彼の紫色の御髪を引っ張ると彼女自ら彼に口付けた。彼女からそんなことをするのは珍しく、彼もこればかりは顔が赤くなる。
「……ばか。」
最早、周りの視線など気にならない…。
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阿呆代表の神(プロフ) - シンドバッドの冒険は漫画のタイトルです。「シンドバッドの冒険書」だと思います。 (2020年9月7日 16時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - これはどちらでもいいと思いますが、態々女子(おなご)と言わなくても、乙女などと言えばいいと思います。いちいちすいません。 (2020年9月7日 16時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - 魔力操作は気のようなもの、空を飛ぶのは…私はよく分からないですが、風魔法辺りかなと思います。詳しく知りたいなら調べましょう。魔導師ならまだしも、魔力操作を使える人でも、魔導師じゃなければ空は飛べませんので、魔導師以外の人が空を飛ぶのは可笑しいです。 (2020年9月7日 15時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - 魔力操作では空を飛べませんよ。飛ぶのは魔法です。 (2020年9月6日 22時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
月影みこと(プロフ) - 質問です。このお話は原作何年前のお話なんでしょう?シンドバッドが19だから10年前ですか? (2016年3月13日 4時) (レス) id: 456fd0dd8b (このIDを非表示/違反報告)
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