第四十七夜 孤独。 ページ16
────
───
─
翌日の早朝にAは目を覚ました。
隣に眠るシンドバッドの前髪を掻き上げて、ゆっくりと身体を起こすも 二日酔いなのか頭が割れそうに痛む。
「う……」
「──起きたのか、A。」
「……酷く気分は悪いが。」
「何があったんだ?」
彼の琥珀色の瞳に彼女の紅玉の瞳が捉えられる。
「口に突っ込まれた」
「突っ込まれた!?何を!?」
「苦いの」
「苦いの!?」
「無理矢理飲まされた」
「無理矢理飲まされた!?」
彼女が答えれば答えるほど彼の中では如何わしい想像が膨らんだ。
「気付いたらここで寝てた。」
「ああ、昨日俺が連れて帰ってきたからな。待て。無理矢理飲まされたって何をだ。」
「酒」
「………………あ、酒か。」
彼の中の誤解が解け、彼女の頬を愛おしそうに撫ぜる。
窓から爽やかな風が吹き抜け、彼女の美しい黄髪と彼の妖艶な紫髪が舞った。
そして、彼女が起き上がると同時に扉が開かれる。
「姫様、話 ある 着いてきて」
「私一人か?」
「当たり前」
「……行ってこい、食場で待ってるから。」
シンドバッドがそう言うと直ぐにメルレムが彼女の腕を引き 彼は一人部屋に取り残された。
「何の用だ?」
メルレムから彼女を誘うのは初めてで、僅かに不信感を抱く。
「……これ」
そう言ってメルレムが手渡したのは昨晩ジュダルから貰った橙の花冠。
「……?」
「あの男から貰った。」
「あの男………ジュダルか?」
「そう」
この花冠を手渡す意味がわからず、思わず何故呼び出したのか聞いてしまった。
「僕 もう従者辞めたい」
「……そう、か…」
「止めないのか」
「──元々貴様は私の姉上の従者であろう?通常ならば主君を失った従者は王家に仕えるか一般市民へと戻るもの。
それに……私に姉上の代わりは勤まらない…!!」
その言葉にメルレムが声を荒げる。
「僕 姫様のそういうところ 嫌い!!!」
「!?」
「そうやって僕を思いやってる様に言うけど、それは結局自分を守ってるだけ!!そんなの優しさでも何でもない!!」
メルレムの黒髪が大きく揺れて、それと同様に彼女の紅玉の瞳が揺らぐ。
「違う、私は…!!」
「違わない!!姫様は自分が目を向けたくない現実から逃げてる!!!」
何も言い返せなかった。
全て的を射ていたから。
「……っ…………」
「セレム様ならそんな綺麗事を並べて自分を守ったりしない!!」
その一言で彼女は顔を哀しみに歪めた。
205人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「アニメ」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
阿呆代表の神(プロフ) - シンドバッドの冒険は漫画のタイトルです。「シンドバッドの冒険書」だと思います。 (2020年9月7日 16時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - これはどちらでもいいと思いますが、態々女子(おなご)と言わなくても、乙女などと言えばいいと思います。いちいちすいません。 (2020年9月7日 16時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - 魔力操作は気のようなもの、空を飛ぶのは…私はよく分からないですが、風魔法辺りかなと思います。詳しく知りたいなら調べましょう。魔導師ならまだしも、魔力操作を使える人でも、魔導師じゃなければ空は飛べませんので、魔導師以外の人が空を飛ぶのは可笑しいです。 (2020年9月7日 15時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - 魔力操作では空を飛べませんよ。飛ぶのは魔法です。 (2020年9月6日 22時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
月影みこと(プロフ) - 質問です。このお話は原作何年前のお話なんでしょう?シンドバッドが19だから10年前ですか? (2016年3月13日 4時) (レス) id: 456fd0dd8b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ