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第四十四夜 黒紫。 ページ13

「確かにあいつは怒らせたら恐いやつだったな。」
「そうだろう?姉上は厳しく優しい方だったからな。」

 Aは花冠に次いで指輪を編み上げた。
 ジュダルの指を取りその橙の花で編まれた指輪を嵌めると、彼は目を丸くする。

「セレムの、色だ。」
「そうだ。姉上と私では母親が違うから髪色も違う。」

 所詮姫とは言えどAの母親は遊女であり、偶然にも父親が国王であっただけ。
 そして顔立ちはどことなく父親に似ているような。だが姉と顔が似ているのは不思議だった。

「……何だ、私の顔に何か付いているか?」
「いや。……失礼なこと言っていいか?」
「何だ?」
「セレムの方が胸はあるな。」

 その言葉を聞いて、彼女が彼の頬をつねる。
 シンドバッドの周りの女は豊かな胸をしているから、と彼女が気にしていたことをズバリと指摘され 彼女は顔を赤くした。

「わ、私だって…頑張って…!」
「いてててて…ん…まあ、もうすぐ日暮れだし飲めよ」
「さ、酒は飲まん!」

 酒癖の悪さを従者から口煩く言われており、絶対に何かやらかしてしまう、と彼女は彼を押し返す。

「───んぐっ………ん…」

 無理矢理口の中へ酒瓶を入れられ、強めの酒を飲み込んでしまった。
 その瞬間彼女の目付きが変わる。

「お、おいA…」

「私だってシンが好むような体になりたいの〜…!!
「お、おう。」
「こんな貧乳いやよぉ〜!!」
「落ち着けよ…」

 じたばたと暴れだす彼女に彼が驚き酒を彼女の体にかけてしまった。

「う…ヒック…んん…」
「まままあ、落ち着けよ。胸なんてその内デカくな…」
「違うのぉ!今じゃないと駄目なのよお…」
「い、いやA…」
「男なんてどうせ乳でしょ〜!!?」
「おお大声でんなこと叫ぶなよ…」

 飲ませなければよかった、と彼は後悔する。

「……水、持ってきてなかったな。こいつどうしよ。」

 そんなこんなで三時間後、彼の膝の上で彼女は眠ってしまった。

「んだよ……」

 彼女の黄髪が落ちて、花びらに塗れる。

「いきなり乳がどうのって……」

 セレムの寝顔と重なり、つい愛おしげに頬を撫ぜると 彼女が身動ぎをしてハッと我に帰った。
 まさか、シンドバッドの女(もの)になっているなどとは思いもしなかったのだ。なのに、彼女は今の今までシンドバッドに対する愚痴を聞かせていて、関係が脳内で絡まる。

第四十五夜 指輪。→←第四十三夜 連罪。



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阿呆代表の神(プロフ) - シンドバッドの冒険は漫画のタイトルです。「シンドバッドの冒険書」だと思います。 (2020年9月7日 16時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - これはどちらでもいいと思いますが、態々女子(おなご)と言わなくても、乙女などと言えばいいと思います。いちいちすいません。 (2020年9月7日 16時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - 魔力操作は気のようなもの、空を飛ぶのは…私はよく分からないですが、風魔法辺りかなと思います。詳しく知りたいなら調べましょう。魔導師ならまだしも、魔力操作を使える人でも、魔導師じゃなければ空は飛べませんので、魔導師以外の人が空を飛ぶのは可笑しいです。 (2020年9月7日 15時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
阿呆代表の神(プロフ) - 魔力操作では空を飛べませんよ。飛ぶのは魔法です。 (2020年9月6日 22時) (レス) id: 10eaece567 (このIDを非表示/違反報告)
月影みこと(プロフ) - 質問です。このお話は原作何年前のお話なんでしょう?シンドバッドが19だから10年前ですか? (2016年3月13日 4時) (レス) id: 456fd0dd8b (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:乙姫 x他1人 | 作者ホームページ:三つもあります←  
作成日時:2014年10月15日 23時

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