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Blutige Vergangenheit9 ページ17

勝負は一瞬だった。男がナイフをつかんで突っ込んできた瞬間にAは、心臓めがけて弓を放た。ぶれることなく、心臓に突き刺さり、男は血を吐いた。

「クソ…ガキィ!」

倒れた男がもう一度ナイフをもって突っ込んできた。Aは横に飛んでよけ、男のナイフをけり落とした。アバロンが教えてくれた技だ。

「…ごめん」

血を流して死ぬ男にAは謝った。そこへ、アバロンがやってきた。

「…A!お前が...やったのか?」
「…うん」
「…大丈夫か?」
「僕は…でも…殺すことは…なかった」
「違う。今、お前が殺さなかったら新たな被害者が出ていた。だから、お前は悪くない」
「…ありがとう。今日はもう帰ろう」

アバロンは、いつもより近めに寄り添って歩いた。家に戻り、ベッドにAは倒れこんだ。
アバロンにもらったマフラーに顔をうずめた。初めて人を殺した。ぞの感触が頭から離れずにこびりついていた。肉を突き破った音。骨が折れた音。命が消えた音…男がAに近寄って―――

「やめろ!」

大声で叫ぶ。周りを見ると、何もなかった。いつのまにか寝ていたのか、上から布団が掛けられていた。

「…震えてる…」

手足が震えて自由が利かなかった。気持ち悪い感覚から逃げようと、水を飲む。冷たい水がのどを伝って胃に入るのがわかった。ただ、それだけで心地いいと思った。口から伝って落ちた水を眺めた。重力に逆らえずに地面に落ちて浸みていった。なぜ見ていたかは分からないが、目が離せなかった。しばらくそのまま動けなかった。Aを動かしたのは外からの怒声だった。

「いい加減にしろガキ!」
「てめぇらなんざAに会わせてたまるか!」
「治療してもらいに来たんだぜ?」
「他を当たれ!この人買いが!」
「なんだとクソガキ!」

外から鈍い音が響いた。

「アバロンッ…」
「くるなぁっ!…グホァッ…」

音だけで判断するに、アバロンを襲ってるのは5人。Aは、そばにあった弓矢をつかんだ。それでも、体が動かなかった。

「なんで…なんで…動け…」

アバロンは、意識が飛びそうになりながらも必死に戦っていた。それでもAは動けなかった。そのとき、バタッという大きな音が響いた。反射的に駆けつけると、アバロンが気を失って倒れていた。

「あ…あぁ…」
「やっと出てきたか…めんどくせぇ」
「まったく、このガキが抵抗してくれたせいで…」
「さぁ、お嬢ちゃん来てもらうぜ」
「……だ」
「あ?」
「いやだ!」

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カナタ - ページ25の力強いな、が、血からになっています (2017年6月14日 17時) (レス) id: f50bbbd9e0 (このIDを非表示/違反報告)
ミカサ - 面白い…更新した。 (2017年6月2日 0時) (レス) id: aea40fe94e (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:御煉 | 作成日時:2015年9月3日 23時

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