31.望み ページ21
丑三つ時。
静まり返った部屋。
そこには何も無い。
「______征くん」
「なんだい」
ただ、空っぽになってしまった体だけが
ここにある。
「あの時征くんは、『これでは終わらない』って
言った、よね」
「……そうかもね」
私の体はベッドに投げ出され、
仰向けになって暗い天井を見つめている。
「今の征くんは……
これで、満足?」
「……」
返事は返ってこない。
私は……
「……私は、
できることなら、
征くんの望みを叶えたい。
______あの征くんを作ったのは、
私だから。
ちゃんと、償いたい。
……でもね、
そんなに辛そうな顔をしてまで叶えたい望みって、
今の状態、じゃないよね」
あの時の征くんは、
とても追い詰められてた。
私が逆らうことはなかったのに。
……でもその答えは、とても単純で。
「______そうだね。
オレはずっと、
強がりを言っていたのかもしれない」
ふっと、ソファに腰掛けていた征くんが
立ち上がった。
そして、悲痛な声で、
「……見返りなんかいらない、
そんなことはなかった。
オレの感じていた乾きの理由は、
……Aに愛されたかった。
それだけだったんだよ」
こう、告げられた。
それを聞いた私は、
妙に納得した気分になった。
……そう、だよね。
片思いなんて、辛いよね。
征くんは、
15年間、
ひたすら強がっていた。
そして、
「……ねえ、A。
オレは、本当にこの日を待っていたんだよ」
「……?」
「オレに、チャンスをくれないか」
「チャンス、って」
「両思いになる、チャンスだよ」
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アップルミント - めっちゃ面白い!!!! 私も、弱ヤンデレ(←何か弱酸性○オレみたい…)の赤司くんの小説書いてるんですよ!? やっぱり、赤司くんは格好いいですね! 大変だと思いますが、更新、頑張ってください! (2016年9月27日 16時) (レス) id: b3db92abd7 (このIDを非表示/違反報告)
そらまめ - 面白くてとてもいいと思います! 更新頑張ってください! (2016年8月15日 1時) (レス) id: f52402c866 (このIDを非表示/違反報告)
桜兎 - とても面白いです。更新宜しくお願いします! (2016年8月10日 21時) (レス) id: 18143e7d71 (このIDを非表示/違反報告)
テツナ - 初めて見ましたけどこういう赤司くんもいいですね! (2016年7月26日 15時) (レス) id: 1ce5f9d6f9 (このIDを非表示/違反報告)
椿 - やっぱり、いつ見ても面白いです! (2016年7月22日 16時) (レス) id: 6ddfbdbf33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:詩夏 | 作成日時:2016年5月22日 11時