同類。 side・H ページ10
「単刀直入に行こうか」
言うと、少年は笑みを深くする。笑み、であるはずなのに、なぜか背筋が冷たくなった。
作り物めいた、どこか胡散臭い、本心を隠すような、仮面のような…そんな表情。
そうして吐かれた台詞は。
「君、超能力みたいなもの持ってるよね?」
「……は?」
愛想も何もあったものじゃない声が漏れたけど、『笑顔』は変わらなかった。
超能力みたいなもの?
そんなの、『あれ』しかないだろう。でも、どうして…まさかさっき、使ってしまっていた?だとしても私や、オカルト、と呼ばれるような解釈に繋げてしまうなんて。
「…何で、そう思うんですか?」
平然を装って、ようやく言えたのはそれだけで。聞いた少年は目を細める。
「そりゃあ、僕らは君の同類だから、ね?」
そして、猫のような瞳を赤く染めた。
(…ああなるほど、)
それで。
知らない、と言うこともできたしそうするつもりだったけど、『同類』の言葉に心が揺れた。
彼らなら、あるいは、私を。
「…そうですね、持ってます」
答えれば、少年は「良かった、認めてくれた!」と嬉しそうに笑った。
彼らの住んでいるところ…アジト、と呼んでいるらしい…へ向かいながら、自己紹介。
やっぱり女性だった男口調の人がキドさん。
やたらと爽やかなオーラの青年がセトさん。
セトさんに背負われた小さな子がマリーさん。
そして、扇風機を持って「重い」と言いつつも、笑顔を浮かべているのがカノさん。
「…で、君の名前は?」
「……葉月、です」
「ハヅキちゃん。名前?名字?」
「名字です」
「名前は?」
「教えません」
「何で?」
「…嫌いなので」
「いいじゃん別に。からかったりしないし!」
「カノさんは信用できません」
「うわ、ひどいなー。僕、気遣いはちゃんとするタイプの男子だよ?」
「信用できません」
「扇風機だって真っ先に持ってあげる誠意を見せてるのに?」
「あげるってつける時点でそれは誠意じゃありません」
「…確かに」
「…それに、皆さんだって結局名字みたいなものじゃないですか」
「否定はしないけどさ…」
年はマリーさん(不詳らしい)以外同い年だと分かったり、アジトが私の住むアパートと大して距離がないことに内心ほっとしたりしながら、歩いていた。
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ユキ(プロフ) - 最終更新日から4年ちょっと過ぎてしまっていますが、この続きを書いて頂けませんか?どうかよろしくお願いいたします! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 710a3a49b7 (このIDを非表示/違反報告)
霜奈(プロフ) - 酒牙亜さん» コメントありがとうございます!こんな…もはや『恋愛』なのか『サスペンス(?)』なのか分からないようなものなのに…本当にありがとうございます!頑張ります! (2017年9月4日 17時) (レス) id: 2732718bb3 (このIDを非表示/違反報告)
酒牙亜 - 更新頑張ってくださーい!待ってますから!(*´ω`*) (2017年9月4日 16時) (レス) id: d72b2da870 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:霜奈 | 作成日時:2017年5月15日 15時