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言葉。 side・K ページ34

「…嘘でしょ」
道に立ち尽くして、どうしようもない言葉を吐いた。

とある炭酸飲料の一件からおよそ一週間。
セトは皆に忘れられそうな頻度でバイトに励み、女の子達は昨日、少々華やかさに欠ける女子会をしたらしい。
僕はといえば、ハヅキちゃんとその妹について気になるところがあり、能力によるイカサマまがいの手段も用いつつ調べ回っていた。
そして見つけた『事実』は、何となく想像はしていたにも関わらず疑いたくなるもので。
…すぐさま組み立てた仮説は、僕を焦らせるのに十分だった。

もしこの考えが真実なら。考えたくもない。それくらい、色々とまずい事だ。携帯を取り出す。
「番号は確かセトの次に…あった」
正直、かかったところで何を話すか整理しきれていない。それでも早く、早く何とかしないと。
コール音。
…長い。いつもはすぐに出るか切るかするのに。留守番電話でもないようだ。
あと五秒このままなら一度切ろう、と決めたその時。電話が繋がった時特有の音が聞こえた。
一応少し待ったけど何も言われなかったので、僕から話す。
「…もしもし?突然ごめんね、ちょっと話したい事があって。…あ、でも電話で言うより、直接の方がいいか。今日ってこれからアジトに来れる?……ハヅキちゃん?」
改めて内容だけ見てみると何の電話だと言いたくなるけど、動転していたしほっとしたのもあったんだからしょうがない。
とにかく途中で向こうからの声が一切聞こえない事に気がついた。これはおかしい。何かしら反応はしてくれるはずなのに。
携帯が壊れたのかとも思ったけどどうやら違う。よく聞くと人の気配はするんだ。
予定の確認とか、そういうのかもしれない。このまましばらく待とうか。

なんて考えていたところへ、ようやく声が聞こえてきた。
ずいぶんと掠れた、その言葉は。

「……助けて」

黒と白。 side・H→←幸せ。



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ユキ(プロフ) - 最終更新日から4年ちょっと過ぎてしまっていますが、この続きを書いて頂けませんか?どうかよろしくお願いいたします! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 710a3a49b7 (このIDを非表示/違反報告)
霜奈(プロフ) - 酒牙亜さん» コメントありがとうございます!こんな…もはや『恋愛』なのか『サスペンス(?)』なのか分からないようなものなのに…本当にありがとうございます!頑張ります! (2017年9月4日 17時) (レス) id: 2732718bb3 (このIDを非表示/違反報告)
酒牙亜 - 更新頑張ってくださーい!待ってますから!(*´ω`*) (2017年9月4日 16時) (レス) id: d72b2da870 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜奈 | 作成日時:2017年5月15日 15時

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