幸せ。 ページ33
「ハヅキさんはカノさんをすごく特別扱いしてますもん」
「…特別扱い」
「そうです！今日もほら、アジトに来た時。セトさん…はまあ少しおかせておいてもらって、団長さんはあの場にはじめいなかったんですよね。私とマリーちゃんだけで。でもハヅキさん、真っ先に『カノさんは』って。特別気にする癖がなかったら、そうはならないと思いませんか？」
反論できない。間違ってはいない…かもしれないからだ。女子高生アイドルは、輝く笑みで片目を瞑る。
「ちゃんと考えた方がいいですよ？恋について！」
部屋で一人考える。
恋。よく知らないから何とも言えない。今度その類の本でも読もう。というか仮にそうだとして、私はどうすれば…。
「幸せそうだね、お姉ちゃん！」
振り返ると、すぐ後ろに夏凜がにこにこと立っていた。全く気づかなかったけどいつからいたんだろう。
尋ねようとして、ふと別の事に意識が向いた。
「…どうして最近ずっと、それを着てるの？」
それとはつまり、妹の黒いパジャマの事だ。軽く記憶を遡ってみても、大抵着ていた気がする。始まりは…二人暮らしを始めた頃か。
(あれ)
待て、そもそも。
ここに越してきてから、別の格好の夏凜を見た事はあったっけ。
服だけじゃない。髪だって背だって、この一年でわずかでも伸びているか？いや、全く。不自然なほど容姿が変わっていない。それなのに、
どうして一度も違和感を感じなかったんだろう？
可憐で無邪気な笑顔のまま、夏凜は口を開いた。
「嫌だなあ、お姉ちゃん。お姉ちゃんが、それを言うの？」
「何…どういう意味？」
「分からないならいいよ。でもね、お姉ちゃん。忘れないで？」
一瞬で近づいてきた顔は、すべてに失望しているかのような無表情さで。
「…お姉ちゃんの今の『幸せ』は、ちょっとした犠牲と現実逃避からできてるんだよ」
「…あ、」
顔を覆う。情けなく座り込んでしまった。
「ね、お姉ちゃん。私はお姉ちゃんの事が大好きだよ。お姉ちゃんを一人にしないよ。そう言ったもん。『そうした』もん。ねえそうだったよね？お姉ちゃんが私にそうしてって言ったよね？そう言ったよ、言ったでしょお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃんお姉ちゃん」
夏凜の声が頭を埋める。私へ向けられた声が。
嘲るような調子の言葉が、ひときわ高く響いた。
「ねえお姉ちゃん、」
「私を一人に、しないで？」
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ユキ(プロフ) - 最終更新日から4年ちょっと過ぎてしまっていますが、この続きを書いて頂けませんか？どうかよろしくお願いいたします！ (2022年2月19日 22時) (
レス) id: 710a3a49b7 (このIDを非表示/違反報告)
霜奈(プロフ) - 酒牙亜さん» コメントありがとうございます！こんな…もはや『恋愛』なのか『サスペンス(？)』なのか分からないようなものなのに…本当にありがとうございます！頑張ります！ (2017年9月4日 17時) (レス) id: 2732718bb3 (このIDを非表示/違反報告)
酒牙亜 - 更新頑張ってくださーい！待ってますから！(*´ω`*) (2017年9月4日 16時) (レス) id: d72b2da870 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜奈 | 作成日時：2017年5月15日 15時
