そう。 side・Ｈ ページ32
『悪魔の飲み物事件』の約一週間後。
アジトへ行ってみると、カノさんの姿がなかった。
「あ、ハヅキだ！いらっしゃいっ」
「お先にお邪魔してまーす！」
「こんにちは。マリーさん、キサラギさん」
マリーさんが今日は珍しく何も割っていない。
キサラギさんにこっそり聞いたところ、いい加減食器などへの出費を抑えたいとキドさんその他がやる事が増えているそうだ。
「カノさんはどこに行ってるんですか？」
「え？えーと、どこかな。キドー！」
呼び掛けで、初めてキドさんが台所にいたのを知る。お茶を入れてくれたキドさんの返答は、実に端的だった。いわく、
「知らん」
キサラギさんが、早速お茶菓子に手を伸ばしつつ首を傾げる。
ちなみに今日の『お茶』は冷たい麦茶で、お菓子もかりんとうや最中など和菓子系統だ。
「団長さんに何も言わないで出掛けたんですか。お散歩とか…？」
「散歩なら散歩と言う。何をしているのか知らんが度々そういう…目的を言わない外出があるんだよ、あいつは。最近は何かを調べてるようだが、内容その他はさっぱりだ。…あと、さすがに不憫だから言っておくがセトはバイトだ」
「…ああ」
「忘れてました…セトさん」
終始その調子で即席の茶話会…キサラギさん言うところの女子会が進み、帰る頃には夕方だった。
帰る方向が同じだという事で一緒に帰っているのだけど。
「…で、結局！ハヅキさんはカノさんの事をどう思ってるんですか！？」
「……メカクシ団の人、ですね」
「ああ、なるほど。ってそうじゃないですよっ！恋です恋愛！恋愛対象としての話です！」
それは分かっているけれど。
「何で私がカノさん相手にそうなると？」
そんな態度を見せた覚えはないし、そもそもカノさんはキドさんとの方が生き生きしている。そういった態度をとられた事は多分ないし、そういう対象として意識した事も…まあない。
本気で首を傾げる私に、彼女もまた首を傾げて。
「…むしろ、そうとしか見えませんよ？」
「それはキサラギさんがおかしいと思いますよ」
女子の象徴たるアイドルには、女子フィルターとでも呼ぶべきものが備わっているのだろうか。身の回り色々が青春だの何だのに見えるような。素敵だなあ、客観的に見てかなりまずいけど。
普段はなかなかしないレベルで心配していると、「だって、」とキサラギさんが笑った。
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ユキ(プロフ) - 最終更新日から4年ちょっと過ぎてしまっていますが、この続きを書いて頂けませんか？どうかよろしくお願いいたします！ (2022年2月19日 22時) (
レス) id: 710a3a49b7 (このIDを非表示/違反報告)
霜奈(プロフ) - 酒牙亜さん» コメントありがとうございます！こんな…もはや『恋愛』なのか『サスペンス(？)』なのか分からないようなものなのに…本当にありがとうございます！頑張ります！ (2017年9月4日 17時) (レス) id: 2732718bb3 (このIDを非表示/違反報告)
酒牙亜 - 更新頑張ってくださーい！待ってますから！(*´ω`*) (2017年9月4日 16時) (レス) id: d72b2da870 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：霜奈 | 作成日時：2017年5月15日 15時
