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癖。 side・idol ページ20

「…私、何かまずい事言いました…?」
私だって空気を読むくらいはできる。表情から感情を察する、なんて事も。
そうして異常は分かったけど、どうしてこうなったのかが分からない。そこまで変な話をしていた覚えもないし。
もしかして、ああいうからかいが嫌いな人だったのかもしれない。男女交際、とかに潔癖な。あとは、カノさんの事を実はものすごく嫌いで、弱味を握られて渋々来ていたとか。…ああうん、何かあり得る。
可能性を浮かべられるだけ浮かべていると、団長さんが少し困ったように笑った。
「…お前のせいじゃないから、そう考え込むな。あいつには会ったばかりで知らなかったんだし、カノが何とかするだろう」
「知らなかった、って」
「…少し、な。無責任にも任されたし、ちゃんと説明するさ」
無責任にも、の行はカノさんとのやり取りを指しているんだろう。あれだけで意思疏通できるなんて、すごいと思う。
…セトさんの能力が霞むな、なんて考えてない。決して。

「あれは、ハヅキの…悪い癖、とでも言うかな」
頭を振る私に怪訝な顔をしながらも、団長さんはそう表現した。
「ハヅキの能力については聞いたか?」
「…感情を共有する能力、でしたよね?二通りの使い方があるっていう」
「ああ。無意識に発動する事があるんだが、二つのうちどちらだとしても、本人はそう気づけないんだ」
…どういう事だろう?
「あいつの力は、外面の変化が起こる訳じゃないからな。まあ、たまに周りの様子がおかしくなる時もあるが…いや、ハヅキは十中八九気づかないな」
小声でなかなかな事を言っていた気がする。周りにあまり興味なさそうにしていたし、事実かもしれないけど。
「…とにかく。無意識に使って、その事に気づかなかった後…あいつはどうも、自分の感情を疑う嫌いがあるんだ」
呆れたように言いながら、目は少しだけ悲しそうで。
「…今感じているのは他人の感情で、実は自分は何も感じていないんじゃないか…って、そう思うらしい。自分の能力ならそれもあり得るしって。でもって落ち込む。それはもうすごい勢いでな。本人はいつも通りのつもりらしいが。…ったく、あれだけ人が多いから気を付けてやれって言ったのに。気づかなかったか忘れていたか知らんが、あのバカ。帰ったら…」
話を真剣に考えていたから、最後の方はちょっと聞こえなかった。
…事にしたい。

暑い。 side・H→←慌ただしい。



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ユキ(プロフ) - 最終更新日から4年ちょっと過ぎてしまっていますが、この続きを書いて頂けませんか?どうかよろしくお願いいたします! (2022年2月19日 22時) (レス) id: 710a3a49b7 (このIDを非表示/違反報告)
霜奈(プロフ) - 酒牙亜さん» コメントありがとうございます!こんな…もはや『恋愛』なのか『サスペンス(?)』なのか分からないようなものなのに…本当にありがとうございます!頑張ります! (2017年9月4日 17時) (レス) id: 2732718bb3 (このIDを非表示/違反報告)
酒牙亜 - 更新頑張ってくださーい!待ってますから!(*´ω`*) (2017年9月4日 16時) (レス) id: d72b2da870 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:霜奈 | 作成日時:2017年5月15日 15時

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