第335夜 ページ16
ーシンドバッドsideー
「A、あまり根を詰めすぎるなよ。
手伝いたいという気持ちはわかるが…、慣れていることではないだろう、無理はいかん」
俺の部屋のソファに腰掛ける彼女にそう言った。
お互いの仕事を終えた夜、少しAと話をしたくて彼女を部屋に呼び出した。
勤務時間外じゃないと話す時間すら見つからないとは。
「そんなつもりはないんだけどなぁ。
でも、他にもやりたいことはいっぱいあるんだよね。
僕は魔導士じゃなくなっちゃったから…、少なくとも剣術くらいは身につけたいなって思ってて！」
俺の心配をよそに、Aは楽しそうに笑顔でそう答える。
…魔導士であることがAにとっての誇りだっただろうに、思った以上に前向きで安心した。
だが。
「そうじゃなくてだな。
俺が寂しいんだが…？」
Aの隣に腰掛け、Aの顔を覗き込みながらそういう。
その重みでソファが沈み、Aの体がほんの少し俺の方に傾く。
Aがはっとして顔を上げると、もう鼻先が当たりそうなほどの距離に互いの顔が。
「へ、あ…そ、そ、そうだよね…！
ごめんなさい…」
不意打ちだったのか、Aは顔をあっという間に真っ赤に染めながら、慌ててそう言った。
その様子があまりにも愛おしくて、思わずAの頬に手を添える。
すると、Aはびくりと肩を震わせ、顔を真っ赤にしたまま固まってしまう。
「し、しん…」
震える声で俺の名前を呼ぶA。
あぁ、可愛い。
そのまま、唇を重ねようとしたのだが。
「あ、あああ、あのね！！
明日からシャルに稽古つけてもらおうと思ってて！！
だからもう、戻るねっ！！！」
俺の肩を押し返し、そのまま大慌てで部屋を飛び出して行ってしまった。
「…また、か…」
思わずつぶやいた。
ご覧の通り、Aとの進展が一切ない。
Aの様子からして、単にハードルが高いだけなのだと思うのだが、それにしてもだ。
「逃げることないじゃないか…！！」
思わず頭を抱えながらそうこぼした…。
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北狐(プロフ) - こたつさん» コメントありがとうございます！私のオリキャラ気に入っていただけたようで嬉しいです！笑 更新ペースはかなり遅いと思いますが、楽しんでいただければ幸いです…！ (2022年2月10日 10時) (
レス) id: 901e45cbed (このIDを非表示/違反報告)
こたつ - 私もシリーズ1から一気読みしました〜！！ストーリーはもちろんオリジナルキャラのみんなもとても大好きです(特にロロくんと陽炎くんめちゃめちゃどツボです)これからも主様のペースで、更新楽しみにしております！ (2022年2月6日 1時) (レス) @page22 id: b04bd0b3fd (このIDを非表示/違反報告)
北狐(プロフ) - サオリさん» コメントありがとうございます！時間がなかなか作れず更新できなくて申し訳ないです…。でも楽しんでいただけるよう頑張ります！ (2022年1月6日 14時) (レス) id: 901e45cbed (このIDを非表示/違反報告)
サオリ - １つ目から一気読みしちゃいました！！面白いです！！更新が遅いとか関係ないです！！ずっと見てます！！応援していますので！！ (2022年1月5日 7時) (レス) @page21 id: ee2ef4b0e7 (このIDを非表示/違反報告)
紅桜夢 - とっても面白かったです。 (2021年12月21日 16時) (レス) id: d6df4e3d64 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：北狐 | 作成日時：2021年7月11日 15時
