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最終章 ...話... ページ15

「っそれで?」

「ん、終わり」

「えぇぇ、ほんとにぃぃ!?」

「いいんだよ、これ以上は蛇足だろ?」


涙を拭って詰め寄る私に、彼が困ったように笑って言った。

たった二人で大きな図書館の一角を貸し切り状態。
職員さんも寝ちゃってるし、少しくらい大きな声を出したっていいはずだ。
今、彼の好きな本のお話を聞いていた。
少しばかり、彼の解釈が入ってたりするんだけれど、とっても素敵なお話。
どうやら鶴の恩返しが元になっているらしい。


「題名、なんて言うの?」

「あれ、言ってなかった?」

「...うん」

「本当? ...四季折の羽、って言うんだ。」

「四季折の羽...うん、綺麗な名前だね」


私がそういうと、でしょ?と、嬉しそうに笑った。
この笑顔。
私は大好き。


「...僕の解釈になるんだけど」


ぽつりとつぶやく彼の次の言葉を待つ。


「きっと、生まれ変わって、二人で幸せに暮らしたと思うんだ」

「...そうだね」

「二人で、支えあって、二人で笑いあって。悲しみも分け合って。」

「...わたしも、そう思う」

「......ううん、やっぱり蛇足だね。ここで終わるからこそ良いんだ」


そこで話すのをやめてしまった。
ううう、もどかしい。
そこで、ふっと思いついたフレーズを問いかけてみる。

「いつか、私がヒトじゃなくなっても、貴方は私を愛してくれますか?」

彼女の最後の問いかけ。
これで私の涙腺は崩壊した。

彼は驚いたように目を見開いて、それでもすぐに笑っていった。

「当たり前だよ」

なんとなく、彼女の気持ちがわかった気がした。


「リン」

「へっ」

唐突に彼の顔が近づく。
驚いて間抜けな声が漏れた。

「愛してるよ」

「っ!! え...と」

「...なんて」

「っ...っばか! レンのばぁぁか!!!」

「はいはい、ごめんごめん」

真っ赤な顔をしているだろう私を置いてさっさと立ち上がり、外に出ていくレン。
微かに耳が赤い。
あれ、照れてる?

なんとなく嬉しくなって、レンに飛びついた。

「...私も!!」

「...そう」

「あー照れてるー」

「照れてない!」

これからは、伝えていこう。
後悔しないために。

いつまでも、二人で笑ってられるように。

あとがき→←十一話 ...羽...



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近所迷惑さき - とってもいい歌ですよね〜。今でもまだ聴いてます。聞いた時、あれ?これボカロなのか!?とビックリしたので、自己解釈を見て、意味を知りました。 (2022年3月27日 7時) (レス) id: 51e47c3894 (このIDを非表示/違反報告)
Mirror Sound - 素敵な、物語です!私は、元々「四季折の羽」が大好きだったんですけど、この自己解釈を読んでからもっと好きになりました!できれば、違う歌の解釈も沢山書いてほしいです。 (2016年1月13日 15時) (レス) id: 863d51c1e2 (このIDを非表示/違反報告)
Yukine.(プロフ) - ×××さん» こちらこそ、素敵な作品をありがとうございました。私も貴方の作品が大好きでした。そんな素敵な作品に私のイラストを添えていただけて本当に嬉しかったです。本当にありがとうございました。 (2015年7月14日 22時) (レス) id: dd995b6485 (このIDを非表示/違反報告)
×××(プロフ) - こちらに失礼します。度々イラストを描いてくださり、ありがとうございました。あなたの絵が大好きでした。本当に、本当にありがとうございました。 (2015年7月14日 21時) (レス) id: 9c0f93981b (このIDを非表示/違反報告)
Yukine.(プロフ) - Misakiさん» コメントありがとうございます...!!好きといっていただけてとてもうれしいです。 (2015年2月25日 20時) (レス) id: dd995b6485 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:Yukine. | 作成日時:2014年1月26日 17時

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