1話 ページ2
『ありがとう、また来てね。』
よし。早めに片付けないと。
今日は寂雷先生が予約してくれたから…
昨日の夜少しワクワクして寝れてないってことバレなきゃいいけど…
『くまは消したけど…』
と鏡でチェックする。
大丈夫そうだね。
よし!張り切っていこうか!
カランコローン
ドアに付けたベルの音がなる
ふと振り向くと肩の位置に目線が行く。
髪が長い紫陽花のような淡い色彩の髪が美しい
先生か。
少し早めに来れたんだな。
『寂雷先生いらっしゃい。』
寂「あぁ、A君。今日は髪を梳いてくれるかい?」
『おっけー、それだけだったらお金はいらないよ。』
寂「…良いのかい?一応商売だろう?」
『いいの。寂雷先生は特別だから。』
寂「ふふ、それは少し照れるね…ありがとうお言葉に甘えるよ。」
鏡の前の椅子に座らせタオルを巻く。
寂雷先生ってこういう所すごく可愛らしいよな。
とてもじゃないが本人には言えないけど。
『ふふっ…』
寂「何かいい事でもあったのかい?」
『ないよ、って言おうとしたけど実はね?…ふふっ。』
寂「うんうん?」
と鏡に写った先生が仏のように微笑みながら相槌をうつ
聞き上手だよな。本当に寂雷先生って。
話してるのも楽しくなる。
…少し恥ずかしいけど言おう、
『実は…寂雷先生と久しぶりに会えたことが嬉しくて…』
えへへと少し頬を掻きながら言う。
鏡に写った先生が目を見開いて固まる。
俺変な事言ったかな…
『えっ…と…?』
というと先生はふと我に返り返事をした
寂「…ありがとう。面と向かって言われてしまうと少し照れてしまうね…私も君と会えて凄く嬉しいよ…」
と少し顔と耳を赤くしながら先生は言う
んん"っ…これは先生のファンも倒れてしまうよな…
同性の俺が言うのは何かおかしい気がするが
同性の俺からみても寂雷先生は凄く魅力的で
特別恋愛感情で好きという事ではないけど
誰だってこの人の事を
見れば見るほど惹かれて行くと思うんだ。
なんて色々長考していたら今度は俺が固まっていたらしい。
寂「えっと…やっぱり35歳がこういう事を言うのは気持ちが悪いよね…忘れてくれて構わないよ。」
『そうじゃないよ!ただ嬉しくて固まっちゃっただけで…』
寂「ふふ、ありがとう…本当にあの頃から大きくなってくれたね…」
『それに関しては先生には本当に頭が上がらないよ…捨てられた所を育ててくれたのは先生なんだから…』
そう俺は捨てられたんだ。
10歳の時、両親に
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作者名:時雨@如月時雨 | 作成日時:2020年5月2日 18時